【Q&A】流産後の治療について~加藤 徹 先生【医師監修】

りえさん (30歳)  
1度流産しています。生理1回分あけて妊活再開予定ですが、それまでにできることはありますか?
Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生に聞いてみました
【医師監修】Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生
兵庫医科大学大学院卒業後、兵庫医科大学病院周産期センター長や医局長を歴任し、令和4年よりkobaレディースクリニック副院長として従事。令和6年6月同院長就任予定。日本生殖医学会認定生殖医療専門医、指導医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
流産の主な原因として、胎児染色体異常、夫婦染色体均衡型転座、抗リン脂質抗体症候群、子宮形態異常などが挙げられます。その中でも一番多いのは胎児染色体異常に起因する流産です。今回流産絨毛を用いた染色体検査をされているようなので、結果次第で方針が
変わります。
胎児染色体異常は、主に卵子の染色体異常に伴い起こる現象で、30歳でも約30%程度の卵子に染色体の数的異常が見られます。その為、流産自体はそこまで珍しいものではありません。染色体異常が無い卵子や受精卵を肉眼的に選別することは困難な為、通常の生殖補助医療で完全に流産を避けることはできません。
しかし、受精卵の着床前胚遺伝学的検査(PGT)を行うことで染色体の数的異常の無い受精卵を選別するという選択肢はあります。PGTを行い染色体異常のない受精卵を移植することで流産率を下げることは可能です。
また、その他の原因である夫婦染色体均衡型転座、抗リン脂質抗体症候群、子宮形態異常なども採血や超音波等であらかじめ調べておくことは可能です。
また既往に橋本病があるようなので、引き続き甲状腺に対する治療は甲状腺異常による流産の予防のために継続する必要はあります。
以上を踏まえて、当院としては今後の方針として下記の提案をさせていただきます。
●胎児染色体異常が認められた場合
→通常通り生殖補助医療を継続するか、PGTを選択する(適応条件あり)
●c胎児染色体異常が認められなかった場合
→その他の原因検索を行う(夫婦染色体均衡型転座、抗リン脂質抗体症候群、子宮形態異常など)
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