【Q&A】早発卵巣不全の治療について~石塚先生【医師監修】

まめふくろうさん(41歳)

妊活のために今年4月に初めて受診しました。早発閉経に近い状態とのことで、担当の先生から「DHEAを飲んでみる」「足りていないホルモンを補充する治療を受ける」ことを早急に勧められました。
ホルモン補充療法を調べましたが、詳しい情報をなかなか見つけられません。

●早発閉経、早発卵巣不全の治療はどういう治療内容でしょうか(注射でホルモン補充を行う定期的に服薬する等)
●ホルモン補充治療にリスクはございますか?
●早発閉経の治療と不妊治療を合わせて受けられるクリニックは限られていますでしょうか?
●保険診療で受けられますか?
現在は漢方の服薬と鍼のおかげで、だるさもなくやる気も戻り、ずいぶん快適に過ごせていますが、今後、子供を産んで夫婦で子育てをしていくにせよ、夫婦二人で生活していくにせよ、健康な体で生きていきていこうと夫婦で話しましたので、治療はすぐに始めたいと考えています。

石塚先生にお聞きしました。

石塚 文平 先生(ローズレディースクリニック 院長)昭和大学医学部卒業後、米国カリフォルニア大学 サンディエゴ校生殖医学科留学、聖マリアンナ医科大学教授、聖マリアンナ医科大学産生殖医療センター・センター長兼任・聖マリアンナ医科大学高度先進生殖医療研究開発講座特任教授を経て、2014年にローズレディースクリニック院長に就任。日本生殖医学会(名誉会員)、日本女性医学学会(名誉会員)、日本受精着床学会(名誉会員)等所属。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●AMH値0.1は「早発閉経に近い状態」だと考えられますか?

FSH値が高いことも合わせて考えますと、早発閉経に近い状態だと思います。
※早発閉経とは40歳~44歳までで閉経する事です。40歳未満で閉経することを早発卵巣不全といいます。

●「 DHEAを飲んでみる」「ホルモン補充する」ことを提案されていますが、先生ならどのような方法を提案されますか?

DHEAは当院でもすすめています。ホルモン補充は2か月以上月経がない状態であれば、必要だと考えます。不妊治療を希望される場合には女性ホルモンが足りないと卵の発育がうまくいかない為、その為にもホルモン補充が必要になります。

●早発閉経、早発卵巣不全の治療法について教えてください。

ホルモン補充をすることは必要となります。50代60代になってからの健康を守る為です。また不妊治療を希望する場合には、その上で排卵誘発剤を使い、卵を育てます。体外受精を必要とする場合が多くなります。

●ホルモン補充治療のメリットやリスク等について教えてください。

早発閉経の女性では50歳以降の心筋梗塞、脳梗塞の発症率、骨折率が高くなり、平均寿命が短くなることが欧米のデータで示されていますが、適切なホルモン補充療法によりこれらの健康上の問題を防ぐことができることも知られています。これはメリットです。
また、リスクは血栓傾向となる事50歳以上まで続けると乳がんの危険性が多少増えることが知られています。しかしながら、きちんと定期検診を行いながらホルモン補充を行う事によりこれらは回避されます。

●早発閉経の可能性がある場合、どのように不妊治療を進めていけばよいでしょうか?

どの程度の卵巣状態によって治療法が変わってまいります。保険の範囲で治療が可能か、または保険の範囲を超えての治療が必要か、まずは今のお身体の状態を一日でも早く再度検査されることをお勧めいたします。当院ではAMHをナノグラムよりひと単位低いピコグラムで4ピコグラム(0.004ng/ml)まで計る事が出来ますので、その値によって治療法を変えております。その値を見てから治療法はご相談させていただいております。

●早発閉経の場合、保険診療で不妊治療を受けることはできますか?

卵巣機能の程度によりますが、AMHが0.1ng/ml ぎりぎりのところですので、
早めに受診した上で、保険診療が出来るかどうかを確認されることが良いと思います。

●その他、アドバイスをお願いします。

早発閉経は高齢になってから色々な健康上の問題を引き起こす状態ですが、適切な治療を受ける事により、これらの問題は回避され、健康に過ごすことができる状態です。 但し、不妊治療は年々難しくなりますので、是非早期に専門機関を受診することをお勧めいたします。当院ではオンライン診療でセカンドオピニオンもいたします。ご活用いただけましたら幸いにございます。
ご自身の納得のゆく、そしてまたご状況に合った治療法が見つかります事を願っております。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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