【Q&A】生理中に基礎体温が下がらないのは年齢的なものでしょうか?~小川先生【医師監修】

ねこさん(47歳)

生理中ですが基礎体温が下がらないのが気になります。寒気はするのですが。年齢的なものでしょうか。
20代から生理不順で、将来の妊娠のためにと産婦人科は長年通いましたが、入籍後は不妊病院を勧められたものの紹介はしてくれず、もう年齢的に新規に受付してもらえそうな不妊クリニックがないため、そのまま継続して通いました。
体温に良い傾向が見えてきたため頑張っていましたが、年齢を考えると次の排卵から通院と漢方はやめることにしました。
難しいと思いますが基礎体温は継続して測っています。
夫は妊活には積極的ですが検査はしてくれず夫の問題はわかりません。

小川誠司先生に教えていただきました。

藤田医科大学 羽田クリニック 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師に就任。自費で最新の医療を受けられるという併設の羽田クリニックで患者さん一人ひとりの思いをかなえるべく診療も行っている。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●20代から生理不順で、現在は生理中に基礎体温が下がらず気になっているとのことです。基礎体温が下がらない原因としてどのようなことが考えられますか?

基礎体温を上昇させるのは、排卵後にできる黄体から分泌される黄体ホルモンの作用です。月経前に黄体が消失し、黄体ホルモンが下がることで、基礎体温も下がり、次の月経が起こります。加齢により卵巣機能が低下してくると排卵自体が起きづらくなり、卵胞が育っても排卵せず、未破裂卵胞として残ってしまう場合があります。月経が来ても未破裂卵胞が残ったままになると、そこから黄体ホルモンが出続けるために、月経が来ても基礎体温が高めのまま維持されることがあります。月経中に一度産婦人科を受診して、未破裂卵胞がないかなど超音波検査やホルモン検査をされてはいかがでしょうか。
ただ、基礎体温は個人差がありますので、必ずしも月経周期と合致しない場合もあり、基礎体温が高いままでも月経が来ることがあります。前述のような所見がないのであれば、特に気にしなくても良いと思います。

 ●「年齢的に新規に受付してもらえそうなクリニックがない」ために一般の産婦人科に継続して通院していたそうです。 40代後半の方が妊娠を目指すために受けたほうがよい検査や治療について教えてください。

40代後半の女性の卵巣機能は非常に個人差があり、まずはご自身の卵巣機能がどれくらい保たれているのかを調べることをお勧めします。卵巣機能を知るための指標として、抗ミューラー管ホルモン(AMH)卵胞刺激ホルモン(FSH)などのホルモン採血があります。40歳代の後半はすでにかなり妊娠することが難しい年代に入っておられますが、ホルモン結果を見てご自身の卵巣機能が同年代の方より良い結果であれば、妊娠のチャンスはあるかもしれません。不妊治療専門の病院・クリニックを受診して、体外受精など積極的な不妊治療を行うことも一つの選択肢だと思います。

質問者様もされているようなサプリメントや漢方薬など、より良い卵子が得られるようにアンチエイジングに対する取り組みはぜひ続けてください。また最近では卵巣機能改善のため、多血小板血漿(PRP)や間葉系幹細胞を利用した再生医療なども不妊症の分野でも応用され始めていますので、そういった最新の治療を受けて体外受精に取り組むのも良いかもしれません。

 ●年齢が高い方のクリニック選びのポイントについて教えてください

年齢が高い方こそ、不妊治療に十分精通した医師に診てもらうことをお勧めします。加齢によりさまざまなホルモン変化や前述したようなうまく排卵しないといった状況が起こりますので、不妊治療の専門医であれば適切にアドバイスしてもらえると思います。また40歳代後半では、治療により必ずしも妊娠できる訳ではありません。どのような結果になるにしろ、ご自身が十分に納得した上で治療を進めることが大事ですので、実際にいくつかのクリニックを受診して相談いただいた上で、ご自身が任せられると思う医師を選ぶことも大切です。治療を行って思うような結果が出なかった時にも、治療終結のタイミングなど親身に相談にのってもらえると思います

●「夫は妊活には積極的だが検査をしてくれない」とのことです。ご夫婦で考えが異なる場合の妊活の進め方についてアドバイスをお願いします。

ご主人も妊活には賛成されていますが、奥様に比べて、妊活や不妊治療に関する知識が十分でない方も多くいらっしゃいます。検査する、しないに関わらず、ぜひ一度ご夫婦で不妊治療の病院・クリニックを受診してみてください。そこで医師からの説明を聞くことで、不妊治療の実際をご主人にも正確にご理解いただくとともに、お家に帰ってからご夫婦で不妊治療について話し合う良いきっかけにもなります。40歳代後半の方にとって、いつまで、どこまで不妊治療を行うかの決断は非常に重要です。ご夫婦ともに後悔しないような選択ができるよう、一度は不妊治療の専門病院・クリニックをご夫婦で訪れてみてはいかがでしょうか。

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