【Q&A】次の妊娠に向けて不安を解消したいです~浅田先生【医師監修】

みいさん (26歳)
去年10月に妊活を開始しました、その周期で妊娠しましたが、妊娠9週で稽留流産になり、去年末に手術をしました(最終月経から数えると妊娠10週頃ですが、胎児の大きさから排卵が遅れていたのだろうとのことで医師には妊娠9週ごろの流産と言われています)
手術2日後から腹痛と発熱があり、受診し検査したところ、産褥子宮内膜炎とのことで、一週間ほど大きい病院に転院し抗菌剤点滴を受けました。
退院後も出血が続き、子宮にまだ遺残物が残っていると言われました。流産手術から1ヶ月経った頃に、大きい血の塊が出てきてその後徐々に出血が治まり、病院の検査で子宮がキレイになったとのことで大きい病院の通院は終わりました。妊活は生理が2回きたら再開して良いと言われました。
次の妊娠に向けて、不安なことを解消したいと思い、以前通院と手術をした病院とは別の産婦人科に行きました。
そこで「妊娠9~10週の流産だと染色体異常の可能性も高いけど、子宮内の血液が凝固して流産になった可能性もある」とのことで、バイアスピリンと当帰芍薬散を処方していただきました。ホルモンを調べる血液検査と卵巣のう腫が妊娠前からあるため、念の為にと腫瘍マーカーを行いました。
血液検査の結果「ホルモンには特に異常はないが、腫瘍マーカーの値が基準値より少し高い」とのことで、大きい病院に紹介状を書いていただき、来週MRIを受けることになりました。(エコーで見る限りは漿液性のもので悪性ではなさそうとのことです)MRIの結果、問題なければ、自己流タイミング法で妊活を再開する予定です。
そこで、質問があります
1)右側卵巣のう腫(5センチ)があることで流産につながる可能性はあるのでしょうか?
2)血液凝固の検査はしていませんが、妊娠9~10週の流産だったことから、バイアスピリンを処方していただきました。血液凝固は血液検査をせずにバイアスピリンを飲み続けて妊活してもよいのでしょうか?
3)高齢になると染色体異常が増えて、流産率が上がるとよく聞きますが、私は26歳と比較的若い年齢での流産でした。自分の卵子の質が悪いのではないかと不安です。若くて卵子の質に問題がなくても流産することはあるのでしょうか?
4)流産手術あと、産褥子宮内膜炎になったことが原因で、妊娠しづらくなることはあるのでしょうか?
5)流産経験があると、次に妊娠出産できた場合、障害のある子が生まれる確率は高くなるのでしょうか?
たくさん質問があり申し訳ございません。よろしくお願いいたします。

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

26歳で、流産した後にバイアスピリンを飲まれているとのことですが、血液凝固と流産の関係はかなり以前よりいろいろと言われていました。しかしいまだに明確なエビデンスがありません。バイアスピリンに流産を予防する効果があるかというと、世界的な見解では効果はありません。ヘパリンもその効果はありません。そのため、血液凝固検査の有無も意味がないと言えるでしょう。

流産手術後の産褥子宮内膜炎について、一般的にはあまり起こりませんが、その後子宮内膜の癒着や何か異常があれば、今後妊娠継続に対して障害になる可能性はないとは言えません。流産経験後の妊娠・出産で障害のある子が生まれる確率ですが、障害の有無は偶然に起こることをご理解ください。流産と障害、その後の妊娠は関係ありません。流産する受精卵は遺伝子の組み合わせが上手くいっていないのが本質的な原因です。逆に流産は障害のある子を淘汰する仕組みと考えてください。高齢になると、卵子が古くなり、染色体の異常が段々と増えていくため、それにつれて流産率が上がります。

不育症という病名がついていますが、不育症という病気があるわけではありません。偶然できた受精卵の一つずつは、兄弟姉妹のようにみな遺伝子の構成が違います。遺伝子の組み合わせが上手くいった場合に育っていくということです。ご自身の身体に何か原因があって流産すると受け止めるのは間違っています。

普通の卵巣嚢腫はいくらでもできます。排卵せずに水が溜まったような状況になった卵胞が長く残っていれば嚢腫です。子宮内膜症チョコレート嚢胞があれば妊娠の確率を下げる可能性はありますが、そうでなければ、嚢腫はできたり、つぶれたりしますので、気にしなくてもよいでしょう。あまりに大きくなって風船が膨らんだようになり、血液の循環が悪くなれば、排卵にも影響する可能性はありますが、一般的には考慮しなくてよいものです。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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