夏の気候や自然の力を味方に 妊娠力を上げる

良い卵子を育てたり、子宮内膜を厚くするためにできることを医学博士の邵輝先生に論文や研究をもとに教えていただきます。

医学博士邵輝(しょうき)先生 北京中医薬大学医学部を卒業後、大阪大学医学部に留学。大阪大学にて医学博士号取得。医学博士として東洋医学と西洋医学に精通し、将来の東西両医学の発展的融合を目指す。米国生殖医学会会員、神戸東洋医療学院講師、産業医科大学非常勤講師、天津中医薬大学客員教授、鑑真学院教授、雲南農業大学 客員教授などを兼任。

卵子の質や着床率を上げるには血流の改善が近道に

 暦の上ではまだ夏の始まりとはいえ、毎日暑い日が続きます。ヨーロッパ生殖医学会誌に掲載されている、オーストラリアのキングエドワード記念病院の研究チームの発表によりますと、「夏に採卵した卵子を用いた凍結胚移植のほうが、秋に採卵した卵子をもちいた場合よりも妊娠率が高い」そうです。夏の暑さには困りますが、近い将来に赤ちゃんに出会うためだと思うと少し我慢できそうですね。
 私は神戸にある不妊専門クリニックの漢方相談室にて、10年以上不妊に悩む方々のサポートをしています。不妊治療は日々進化していますが、それでも「良い卵子ができない」「子宮内膜が厚くならない」「受精卵が着床しない」というご相談がとても多いです。同じような悩みをおもちの方々に、妊娠に近づくためヒントとなる論文や研究がありますのでご紹介します。
「日本産科婦人科学会雑誌」Vol.48に、中通総合病院の「体外受精・胚移植における子宮動脈系血流環境と着床の関与について」という論文が掲載されています。その「結論」に、「子宮動脈PI値が3.0、放射動脈PI値が2.5を超えるような循環不全の周期はETには適さない子宮環境であると考えられるが、血流環境を改善することによって妊娠率を高め得る可能性のあることが示された」と掲載されています。要約すると、「子宮の血流を改善すると、妊娠率が75%まで高くなる」ということです。 前述の卵子の質や子宮内膜の厚み、着床不全でお悩みの方には、「子宮の血流の改善」をご提案します。血流を改善することにより、卵巣に栄養と酸素が豊富な血液がしっかり循環し、質の良い卵子が育ちます。また子宮内膜が肥厚し、受精卵が着床しやすくなります。

タンポポには体に良い成分が豊富に含まれている

大阪医科薬科大学の長谷川治彦医師の研究には、「実験でウサギにタンポポT ‒ 1を投与すると、1時間後に血流量が増加し始め、3~5時間後には有意な増加を示した」というものがあります。タンポポT ‒ 1とは、私が30年以上研究を続けている「タンポポ」から抽出した物質です。

日本ではタンポポは食用としてはあまり浸透していませんが、昔から中国では漢方薬として使用されたり、欧米では栄養豊富なハーブとして食されてきました。手軽にタンポポの有効成分を取り入れるには、お茶にして飲むのもおすすめです。ノンカフェインなので、妊活中の人も安心して飲むことができます。

寒い冬より春夏の暑いくらいの時期のほうが全身の血流は自然と良くなりますし、血流が良いと流産も起こりにくくなります。この暑い日々を無事に乗り越え、「実りの秋」にめでたく妊娠されていることを心より願っております。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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