【Q&A】採卵前に精子の質を上げるべき?~藤野 祐司先生【医師監修】

やまさん (46歳)
採卵を2回しましたが、胚盤胞に至らず、初期胚×4つ、桑実胚×1つできました。
桑実胚を移植したところ妊娠しましたが、8週で流産。
妻が高齢のためと思っていましたが、病院からいただいた資料を見返していて主人の精子の正常形態率も悪いことに気が付きました。
今月末に採卵をしようと考えておりますが、主人の精子の質を上げてからの方が良いでしょうか。
これで最後の採卵と考えていて、悩んでおります。

藤野 先生に聞いてみました。

【医師監修】ウィメンズクリニック本町  藤野 祐司 先生
大阪市立大学医学部卒業。藤野婦人科クリニックの院長を務めた後、平成28年にウィメンズクリニック本町を開院。
ご夫婦・ご家族の“夢”の実現に向かって、希望を叶えられるよう、患者さんの状況に合わせた診療を提供することを大切にしている。
日本産婦人科学会専門医、生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
日本産婦人科学会のART統計において、女性の年齢が45歳を超えると流産率は60%を上回ります。46歳という年齢が流産の原因として最も考えられます。
精子検査の結果からは、特に異常は認められません(2021年のWHOによる基準から判断しますと、精子正常形態率4%は特に正常形態率が低いとは考えらません)が、精子は外界の影響を受けやすくDNA断片化を生じやすいと言われています。精液中の白血球や、酸化ストレス、あるいは遠心分離などによる物理的な影響により精子DNAに傷がつき易いと考えられています。酸化ストレスの緩和にはLカルニチンなどといったサプリメント摂取も効果がある可能性が考えられます。
精子DNA断片化が受精卵に影響を与える可能性もあり、胚盤胞発育不良や流産の原因となる可能性も秘めています。人工授精、体外受精実施においては精子精製に遠心分離方法を用いることが多いので、精子調整方法の見直しなどの対応も考慮する必要があるかもしれません。
顕微授精を実施する際には、より質の良い精子を受精させるため高倍率な顕微鏡システムを使用して精子頭部の状態を詳しく観察し良好精子を選別するIMSI法を試みる方法もあります。
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