不妊治療は保険診療でどう変わったの?どんなことに気をつけたらいいの?
体外受精・顕微授精も保険適用できる回数には年齢制限がある
保険適用になったのは、具体的にはどんな治療なのですか。
俵先生●不妊治療は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」に大別され、今回の法改正でどちらも保険適用となりました。「一般不妊治療」は不妊治療の最初のステップで、妊娠しやすい時期を考慮して性交を行うタイミング法と女性の排卵期に合わせて精子を子宮内に注入する人工授精があります。いずれも受精から妊娠までの過程は自然妊娠と同じです。そして次のステップとなるのが「生殖補助医療」で、採卵・採精から体外受精または顕微授精、胚培養、胚凍結保存、胚移植までを行います。
保険適用となる年齢や治療回数の制限は不妊治療は保険診療でどう変わったの?どんなことに気をつけたらいいの?あるのですか?
俵先生●年齢制限は、治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること。回数制限は、女性の年齢が40歳未満ならば1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満ならば1子につき通算3回までです。治療回数は「生殖補助医療」で胚移植までを行って1回としています。人工授精については年齢・回数制限はありません。なお、保険適用外の治療・検査の併用はできません。
初回から夫婦で受診していただき、治療計画書を作成
「生殖補助医療」を保険適用で受けると、費用はどのくらいになりますか?
俵先生●仮に5個の成熟卵を採卵・顕微授精し、同数の胚を胚盤胞培養し凍結後、融解胚移植まで行うと3割の自己負担額が12万2700 円、同様に採卵数15の場合は3割の自己負担額が18万6000 円と試算されます(概算)。採卵・培養・凍結の可能数や受精方法・使用する薬剤・オプション治療等によって費用は異なります。また所得に応じて、治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)も利用できます。(「一般不妊治療」の人工授精は3割の自己負担額5460 円(薬剤等含まず)です。)
保険適用での注意点について教えてください
俵先生●保険診療を実施するためには、初めにご夫婦お二人で受診していただき、治療計画書を作成し、この計画書に基づいて治療内容を説明します。当クリニックでは治療開始前にご夫婦で不妊治療の基本を説明する動画を観ていただき、それからご夫婦揃ってのカウンセリングを行います。保険適用以前は、奥様だけで受診される場合もありましたが、保険適用後はご夫婦そろって来院していただく機会が増え、お二人が共通認識をもって治療に取り組んでいただけているようです。
不妊治療をきっかけに自分の身体を見つめ直してほしい
これから初めて不妊治療を受けられる方々へのアドバイスをお願いします
俵先生●保険適用が始まり、早めに不妊治療を開始しようと考える方が増えてきたように思います。以前は少なかった20歳台のカップルの受診も多くみられるようになりました。保険適用化により、不妊治療に対する心理的・金銭的なハードルが下がっているのだと考えています。受診後は患者さんの理解に応じた個別の説明をしていきますが、全く不妊治療に関し情報をお持ちでない方は、当院であれば事前に初診前相談会や個別説明を利用していただくことで、よりスムーズに検査や治療が進みます。また当院では、女性の妊娠しやすい身体づくり、体質改善に重点を置いています。不妊治療をきっかけに、ご自身の身体を見つめ直すこともとても大切だと思っています。