初めに行う二人の検査 俵史子先生が解説! 不妊治療のいろはVol.2

不妊に関する検査はいつ受けたらいい?
検査ではどんなことを調べるの?

俵IVFクリニック 俵 史子 先生 2007年静岡市に不妊治療専門施設を開業。国立大学法人浜松医科大学に生殖周産期医学講座(寄附講座)を開設し、新たな精子検査法の開発や、妊娠・出産がより安全なものになるための不妊治療の研究も行っている。

半年程度不妊期間が続いたら検査を受けてみましょう

不妊に関しての検査はどのような流れで行っていくのでしょうか。

俵先生●初診で来られたら、まず医師もしくはカウンセラーなどがご夫婦の詳細な病歴や過去の治療経験などについて問診をすることから始まります。そのうえで、不妊に関する検査の概略をご説明し、現在の体の状態を調べて不妊の原因となる要素が隠れていないかどうか検索する段階に進みます。

初診や検査を受けるタイミングですが、自己タイミング法をとり半年くらいの間に妊娠しなければ検査を受けて、治療の必要性について判断していくのが一般的だといわれています。

ただし卵巣機能が低下し始める30代後半以降の方は半年を待たずに受診していただくのが望ましいでしょう。

不妊の基本検査は4項目。1カ月程度で終了します

女性側の検査の種類と目的を教えてください。

俵先生●不妊治療における基本的な検査は「ホルモン検査」「超音波検査」「子宮卵管造影検査」「ヒューナーテスト」の4項目になります。

ホルモン検査は採血でFSHやLH、E2、PRL、AMHなど基準となるホルモン値を測定。そのほか、甲状腺ホルモンや血糖、肝機能、クラミジアや梅毒など感染症のスクリーニング検査があります。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)の検査は体外受精を受ける方は条件付きで保険適用になりますが、一般不妊治療を想定した検査では自費になってしまいます。施設によって費用は異なりますが、おおよそ4000~7000円程度。現在の卵巣の予備能力を調べることができ、治療方針を決める目安にもなるので、できれば受けていただくのが望ましいかと思います。ただし、混合診療は認められていないため、保険適用内の検査と適用外の検査は同日にお受けいただくことはできません。

超音波検査では子宮や卵巣の確認、子宮卵管造影検査は造影剤を注入後、X線撮影で子宮の形態や卵管の疎通性を調べます。これらの検査で子宮の形態異常や内膜ポリープなどが疑われた場合、二次的な検査として子宮鏡検査が行われることもあります。

ヒューナーテストは性交後、頸管粘液を採取し、子宮内への運動精子の侵入程度を調べるもの。必ずしも受けなければいけない検査ではありませんが、基本検査の1つになるかとは思います。

検査の期間はどのくらいですか。

俵先生●女性は月経が始まると体温が下がり(低温期)、排卵期を境に体温が上がった状態(高温期)が続きます(上図参照)。それぞれの時期によってできる検査は決まっているので、初診のタイミングやその時の体調に合わせて効率よく進めていきます。うまくスケジュールが合い、月経から次の月経までの1周期の間に4回くらい来院いただければ一通りの検査が終了します。

不妊の原因は男性にも。男女同時に検査を始めるのが理想的です

男性はどのタイミングで、どんな検査をするのでしょうか。

俵先生●男性側の基本の検査は精液検査で不妊の原因は男性にも。男女同時に検査を始めるのが理想的で精子の濃度や運動率を調べます。精液を採取し専用の容器に入れ、クリニックに持ってきていただきます。不妊の原因検索は早いほうがいいと思うので、当院では男女同時に検査をスタートされることをおすすめしています。

受診や検査について不安を感じている方にメッセージはありますか。

俵先生●不安や疑問を抱えたまま診察や検査をするのは良くないと思います。何かありましたら医師やスタッフにご相談ください。コミュニケーションをしっかりとって不安材料を減らしたうえで検査を受けていただくことが大切です。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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