子宮内環境の健康に話題の外国製乳酸菌製剤

個人輸入やフリマサイトなどの製品はリスクを伴うので要注意!

インターネットで自由に妊活情報が入手できる昨今。「子宮内環境が良くなる」と海外で話題の乳酸菌製剤を個人で輸入するケースもあり懸念されています。
蔵本ウイメンズクリニックの蔵本先生に、女性の生殖の健康と、試したいものを使用する際の注意点について伺いました。

蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990 年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。日本生殖医学会代議員。久留米大学医学部臨床教授。

使ってみたいものがあっても海外からの転売品は避けて

人の臓器にはそれぞれの場所に適した常在菌があり、女性の生殖の健康を考える際にも、その臓器に合った善玉菌がうまく働くことが大切です。子宮内環境や腟内においては、善玉菌である「ラクトバチルス菌」が重要。子宮内細菌叢(子宮内フローラ)でラクトバチルス菌が占める割合が、妊娠率や妊娠維持率に影響するといわれています。子宮内細菌叢の状態は、EMMA という検査で調べることができますが、子宮にとって健康な環境は、ラクトバチルス菌が90% 以上あること。ですが、体外受精で反復して着床しなかった方のうち、クリニックで検査を受けられる女性で90% 以上ラクトバチルス菌がいる方はわずか25%程度です。

ラクトバチルス菌を増やすためのサプリメントもありますが、最近では、直接腟に入れて働きかけることで、子宮内や腟を健康な状態に整える外国製の乳酸菌製剤が話題になっており、日本のクリニックでも輸入して取り扱うところが増えてきました。

ただ一方で、製品を個人輸入し、フリマサイトやオークションなどで転売するケースも出てきており、問題視されています。このような生きた菌が含まれた製品は、適正温度下での管理が必須であり、販売者の管理体制はもちろん、輸送中も正しく温度管理がされているかもわかりません。管理の不備によって、ラクトバチルス菌が減少してしまうだけならまだしも、雑菌が発生して品質が変化したものを体内に入れることは、炎症や病気を引き起こす原因になる恐れがあります。転売製品を購入することは決してしないよう気をつけてください。

インターネットやSNSの情報をうのみにせず医師に相談を

子宮環境の健康を考えた製品のほかにも、ホルモンバランスや男性の機能に働きかけるものなど、海外で気になるものがある場合、ネット上の情報に安易に流されないことが大切です。日本で販売が禁止されているものが含まれていないか、摂取目安量が日本人に合っているか、日本と同等の品質管理が行われているか。また、主成分だけでなくほかの成分はどのようなものか、副作用があった場合の対応は適切か、ほかの医薬品との組み合わせは大丈夫かなど、必ず主治医に相談してみましょう。厚生労働省でも「医薬品の個人輸入は健康被害などの危険があります」と呼びかけています。いずれにしても、正しい品質管理を行っている、安心できる製品をクリニックで入手することをおすすめします。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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