着床しないのは乳酸菌が少ないから?
それとも精子の細菌?
着床しない原因は、ラクトバチルスが少ないからでしょうか?
林先生●ひまわりさんは、ほかにどんな検査をされているのでしょうか。それがわからないので、ラクトバチルスが原因かどうか判断がむずかしいですね。たとえば、根本的なお話として、卵管留水腫があると、卵管内に溜まった液体が子宮内にもどってくることで子宮内細菌叢のバランスを崩すこともあり、そうなるとお話は変わってきます。一般的には、少なくとも子宮卵管造影検査や子宮鏡検査で、卵管留水腫や慢性子宮内膜炎など子宮細菌叢を崩す背景がないかどうか調べておくといいでしょう。
EMMA検査の目安を教えてください。
林先生●回数はクリニックの方針によって変わり、当院は必ずしも再検は行っておりません。子宮内細菌叢が着床にどこまで影響するかは、さまざまな意見があります。腟を経由する検査のため、腟内の細菌が検査結果に影響する可能性も指摘されています。そのため、ラクトバチルスの割合だけに固執する必要はないのではと思います。
精液がラクトバチルスに影響することはありますか。
林先生●通常、精液は無菌ですが、精液が濁っていたり精液検査で白血球が多いと精液中に細菌がいることも稀にあります。もしそのような症状があれば精液の培養検査を検討されてもよいかもしれませんが、特にそのような症状がなければ避妊をする必要はないと考えます。
先生であればどのような治療を提案されますか。
林先生●最後の受精卵でできる限りのことをしたいということでしたら、ラクトバチルスの割合にこだわるのも一つの選択です。ただ、今後も採卵を考えておられるのであれば、この間にも数カ月が過ぎており、次の治療が遅れる心配があります。今回凍結胚の採卵時のご年齢を考えると、次の移植でも十分妊娠される可能性があると思います。ある程度、ラクトバチルスが増えたタイミングで次の移植をする線引きをされてもいいでしょう。割合が90%を下回っていても移植は可能です。または、EMMA 検査はせずに移植を先行し、万が一その後良好胚を移植しても妊娠に至らないことが続く場合は、先進医療の検査なども含め一通りの着床不全検査を受けられてはいかがでしょうか。