【Q&A】CD138検査後の治療について~政井先生

cocoさん(40歳)

移植9回くらい、流産2回
今回先生にお願いして、CD138検査をしていただきました。
結果:16個検出
今後の治療として
1.注射で生理を3か月止める(3か月後ホルモン補充)
2.内膜を手術で剥がす
3.投薬しつつ移植(早く移植したい人向け)
上記の中でも1がお薦めと提案していただきました(抗生物質では改善しないため)
1の治療での不安は、
・海外では主流の治療法だけど日本では行なってる所が少ない(ReceptivaDX)
・更年期症状が出る可能性有り
上記2点があり、決めかねています。
他の先生の見解をお伺いしたいです。

政井先生にお聞きしました。

佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
内容拝見しました。
ReceptivaDXという検査は日本国内では流通していませんが、海外の不妊クリニックでは、子宮内膜症に起因する慢性炎症が原因となる着床不全を検査するための検査法として行われているようです。
子宮内膜症については、チョコレート嚢腫や骨盤内の癒着による月経困難など明らかな不利益を被るような臨床症状があるケースでは積極的な手術の対象となる場合もありますが、症状がないケースや超音波等で明らかにはっきりとした病変として確認できないケースではどこまで積極的に治療の対象とするか判断が分かれるところがあります。
ReceptivaDXはこれらの患者様で、特に反復着床不全を起こしているようなケースの方でBCL6というタンパク質を検出することで子宮内膜症の存在を予測し、腹腔鏡手術による骨盤内洗浄や目視可能な内膜症組織を除去することで、内膜症組織が関与する非細菌性炎症による着床不全の改善に役立てようとする検査です。
また、ReceptivaDXで内膜症の存在が予測される方については、薬物療法を移植に先立ち内膜症の勢いを抑えて炎症性物質が着床不全を起こさないようあらかじめ治療してから移植に臨むというようなこともされているようです。
これまで当院での経験でもすでに凍結胚が確保できているケースでは内膜症のコントロール(手術、あるいは薬物療法)を行ってから移植に臨むというような方もいました。
内膜症の慢性的な炎症状態は着床を阻害するという意見はあるようです。
内膜症の治療で月経を完全に止めてしまうことに不安がある場合ですが、たとえば、観察目的の腹腔鏡検査だけでもやってみる、その結果病変が確認できれば切除を行い、また骨盤内を洗浄することで炎症物質を除去できるという意見もあるようなので手術だけでも検討してみるという考え方もありかと思います。
また、内膜症の薬物療法でも、完全に月経を止めるまではいかない低用量ピルやいわゆるミニピルと呼ばれるエストロゲンを含まない黄体ホルモンのみの製剤(国内ではディナゲストなどが流通)での治療も有効ではないかと思います。

いずれにしても、反復着床不全の原因として、内膜症に起因する慢性炎症が関係していると考えているようなので、ReceptivaDXができない国内においては、腹腔鏡検査による観察と病変の除去(場合によっては骨盤内洗浄)、内膜症の勢いを抑えるための薬物療法(月経を完全に止めない方法もあります)を組み合わせる、または手術だけでも検討してみる、で方向性はよいように思います。

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