クラミジア感染症は不妊症にどのような影響がありますか?
内田クリニック 内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987 年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997 年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1 回来院の荒木先生による心理カウンセリングとサポート体制が充実している。
相談者 : とさん(30歳)6 月9 日に生理が終わり、11 日に卵管通気・通水検査を受けました。卵管は通っていましたが、その前に受けたクラミジア検査で既往ありと判明しました。夫も泌尿器科で検査する予定です。現在、不妊症基本検査を受けていて、次回は性交後テストの予定です。担当医からは、今周期は性交を止めるようにとは言われませんでしたので、できれば今周期に性交後テストをしたいと思っています。シリンジ法でタイミングを取って検査をしてもいいでしょうか?
クラミジア感染症の症状とは?
内田先生● 性感染症の一つですが、自覚症状が少ない疾患で、ほぼ軽い腹痛がある程度とされています。また、感染をしても、風邪などの感染の時に処方される抗菌薬などで、クラミジアそのものは治療できるぐらいに弱毒です。したがって、症状があっても軽微なため無治療で経過していることが多いとされています。
妊娠への影響はありますか?
内田先生●クラミジアが卵管に潜んでいることによる慢性の炎症で卵管障害が起き、不妊症になるケースがあります。受精卵を運ぶ卵管の繊毛組織にダメージを与える卵管炎が慢性化し、卵管閉塞を起こしたり、ひどくなると腹膜炎を起こすことがあります。クラミジアの活動が体内でアクティブになり感染が広がれば、積極的な治療が必要です。
ご主人も検査を受けるようです。
内田先生●男性の場合、クラミジアが排尿時に尿とともに体外に排出され、体内にとどまることは少ないです。排尿痛やペニスから膿が出るという症状がしっかりと認められて初めて泌尿器科へ行き、クラミジア感染を指摘されるのが一般的です。当院では、奥さまがクラミジア陽性であれば、ご主人も原則として治療し、カップル間での感染を防ぐようにしています。
既往のある方が不妊と考えた場合に行ったほうがいい検査はありますか?
内田先生●既往があれば、子宮卵管造影検査は早くしたいですね。そこで問題があった時には腹腔鏡検査が問題の程度を明らかにする検査として有用です。検査では骨盤内にクラミジアが原因の炎症が広がっているのか、卵管のダメージがどの程度なのかもわかります。卵管に通過性があれば、基本的には通常の妊娠を目指せますが、クラミジア感染による卵管内のダメージは明らかにはならないので、体外受精などの卵管に問題がある場合の治療が必要になることがあります。
性交後テストを希望しています。
内田先生●検査で、ご主人に薬物療法の必要がないと言われたら問題はないと考えましょう。また、陽性であっても、薬物療法で翌週にはクラミジアの治療が終わっていると考えられます。
赤ちゃんを望むなら、性感染症に感染しないことです。予防策は不特定多数の人とセックスしないこと。妊娠を考えていないセックスにはコンドームを使いましょう。何より性感染症のことを知っておきましょうね。