「卵子凍結」は有効な選択肢?

将来に妊娠の可能性を残す、卵子凍結。

現代女性の卵子凍結との向き合い方を、グレイス杉山クリニックSHIBUYAの岡田有香先生に伺いました。

グレイス杉山クリニック SHIBUYA 院長 岡田有香 先生
順天堂大学医学部卒業。日本産婦人学会専門医。2014年聖路加国際病院に入職。出産や手術、不妊治療の全てに携わる。2021年から杉山産婦人科にも所属。聖路加国際病院では子宮内膜症や低用量ピルの診療とがん治療前の卵子凍結などにも携わり、杉山産婦人科では不妊治療を学ぶ。不妊治療に多くの方が苦しむのを見て、不妊治療に進む前から定期的に婦人科にかかり不妊予防を行う重要性を改めて認識し、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長に就任。生理の知識や妊活、卵子凍結についてInstagramでも発信している。

30代前半までに考えることが重要。

・卵子凍結の基礎知識(グレイス杉山クリニックSHIBUYAの場合)

【可能年齢】

生殖医学会のガイドラインに則り39歳まで。

出来れば35歳までにした方が、より妊娠の可能性が残るとされています。

【凍結する卵子数】

どのくらいの可能性を残したいかによりますが、平均的に12個位。

30代前半で90%以上の可能性を残したい場合は20個位を目安に採ることをおすすめします。

【出産率】

卵子を20個残した場合に一人子どもを授かる可能性は、採卵時の年齢が28歳であれば94%ほど 、34歳で91%、37歳で70%、40歳で50%と、採卵時の年齢が若いほど可能性は高くなります。

【採卵回数と期間】

1回で採れる卵子の数に個人差があり、概ね1〜3回。生理が始まってから2週間程度で1回目の採卵を行い、2回目を行う場合は次の一ヶ月は休み、最短で3ヶ月間に2回の採卵が可能。

【通院回数】

採卵が1回の場合、2週間の間に3〜4回。初回で薬を渡してから1週間ほど自分でスケジュール通りに飲み薬や注射をした後に来院し、早ければその2〜3日後に採卵します。

【費用】

1回の採卵で卵子を10個以上採る場合、平均で50〜60万円程(※排卵誘発のための注射の本数による)。

保管費用は卵子1個につき年間1万円程。

【保管期限】

自動更新で、50歳の誕生日まで保管可能。ただし生殖医学会のガイドラインに則り、妊娠時の母体を考慮して45歳までの使用をお願いしています。

「数年先がどうなるか分からないから」という理由。

卵子凍結をされる理由としては、アメリカのデータでも同様ですが、キャリアを優先するためというよりも「(現在のパートナーの有無に関わらず)1,2年先がどのような状況になっているか分からないから保険としてとっておこう」と話される方が最も多いです。年齢に応じて妊娠が難しくなることはこれまで一般的にあまり知られていませんでしたが、「周りが不妊で苦しんでいる」「将来の不妊が怖いから今できることがあればやっておこう」と、費用負担の軽減とともに30代前半で来られる方が増えました。

一方で、何となく気になっているものの自分にとって本当に必要なのか分からないという方には、ご自身がどのくらいお子さんが欲しいのかを伺います。生殖医学会で最も有名な論文によると「(自然妊娠で)確実に子供が1人欲しいのであれば32歳まで(2人であれば27歳まで)に妊活を開始すると良い」とされているので、そのくらいまでに妊活を開始出来そうか・すでにその年齢を超えているのか、データを参考に考えていただきます。妊活を早く始めて自然妊娠することが一番ではありますが、絶対にお子さんが欲しいのであれば、30代前半で将来に可能性を残す卵子凍結をやってみてもいいのではとお話ししています。

将来の妊活を踏まえ、定期的な婦人科検診を。

ご自身に不妊につながる病気がないかを調べることも、卵子凍結について考える材料になると思います。重い生理痛のある方の7割に子宮内膜症の可能性があると言われていて、生理不順には早発卵巣不全多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があります。将来子供が欲しいと漠然と思っている方がとても多い一方で、具体的な行動をとることなく過ごしている場合がほとんどです。かかりつけの婦人科で年に一度チェックしてもらい、不妊治療に入る前でも自分の卵子の残りの数を調べるAMH(卵巣予備能)検査などを通して自分の体を知り、キャリアプランや妊活の開始時期、卵子凍結について一度立ち止まって考えていただけたらと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。