【Q&A】保険適用か自費か~田中紀子先生

田村秀子婦人科医院の田中紀子先生に教えていただきました。

田村秀子婦人科医院田中 紀子 先生 京都府立医科大学医学部大学院修了。医学博 士。留学後扇町レディースクリニック勤務を経て、2008年より田村秀子婦人科医院に勤務。副院長。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

たけのこさん(42歳)

私は42歳0か月、主人は、52歳2ヶ月です。
来月に初めての採卵予定ですが、
一回目の採卵を自費でするか保険適用でするかを迷っています。

・初めての採卵を自費か保険適用かで迷っているそうです。先生の考えをお聞かせください。

たけのこさんは現在42歳0か月、流産歴2回、初ARTですね。

4月からのARTの保険適応は40歳以上43歳未満の方は胚移植3回まで。従って、たけのこさんが保険を使用できる期間はあと1年になります。

私の意見としては、初回は保険でARTに臨まれてもいいのかな、と思います。卵子の状態、受精、胚の状態もわからないし、良好胚があり胚移植を行って、保険の範囲内で妊娠する可能性もあります。

PGT-Aや先進医療に含まれていない自費の高度医療を行う場合は、保険適応でARTはできません。もし初回のARTでうまくいかない場合や、もし初めから時間や年齢的なことも考慮しPGT-Aなどの高度医療を考えられるのであれば、その場合は自費診療での採卵で行うことになります。ご主人とよく相談して、よりよい選択をしてください。

・保険適用開始後、治療や検査の選択について不安や心配をされている患者さんも多いと聞きます。特に、40歳以上の患者さんの今後の治療の進め方や注意点などについて、アドバイスをお願いします。

4月からARTの保険適応が始まり、患者さんにとっては、負担も少なくなり、よりスムーズにARTを始める機会が増えたと思います。ARTの保険適応には、卵巣刺激から、採卵、体外受精、顕微授精、培養、胚移植、胚凍結までの一連の処置が含まれています。

既にご存知の通り、ARTの保険適応には40歳未満は胚移植6回まで、40歳以上43歳未満は胚移植3回まで、と制限があります。通常は、卵巣刺激、採卵を行い、受精させて良好な受精卵(胚)があれば胚移植を行います。言い方をかえると、良好胚がなければ胚移植に進まず、採卵を継続する可能性もあります。

 

日本産科婦人科学会から毎年報告されているARTの妊娠率と流産率の報告では、40歳以上から妊娠率が低下し、流産率が上昇します。これは高齢による卵子の老化に伴い、胚の染色体異常率が高くなっていることが原因と考えられています。

現在日本産科婦人科学会の主導で、反復ART不成功の方、2回以上の流産の既往の方などが参加できる着床前診断(PGT-A:胚の染色体検査)の臨床研究が現在進行中です。これまでのPGT-Aの研究結果より、正常な染色体数の胚(正数胚)を選択して移植することにより妊娠率の上昇、流産率の低下が報告されています。PGT-Aの問題点としては、胚の一部を採取することにより胚にダメージを与えてしまう可能性があり、また正常な胚でも100%着床するとは限りません。このPGT-Aはまだ臨床研究段階なので、希望される方の場合はARTに保険を使うことができず全額自費となります。

40歳以上の方は、年齢が上昇する共に、卵巣機能の低下、妊娠率の低下、染色体異常に伴う流産率の上昇を考慮し、ARTを念頭にできるだけ積極的に不妊治療をすすめていくことをお勧めします。またPGT-A検査などの高度治療の場合は、メリットとデメリットをご夫婦でしっかりと理解する必要がありますので、十分な説明を受けてから検討してみてください。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。