まずは先生とうまくコミュニケーションを。

田村秀子先生の心の玉手箱Vol.41

オンライン診療でも気軽に受けられる不妊治療のセカンドオピニオン。なかでも病院の選択肢が限られた地方で受ける時に気をつけたいことは? 秀子先生にお話を聞きました。

田村秀子婦人科医院 田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991 年、自ら不妊治療をして双子を出産したことを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995 年に不妊治療部門の現クリニックを開設。
Waiwai さん(35 歳) からの投稿 地方に住んでいるため、病院の選択肢が限られています。いま通っている病院が、県内では「最後の砦」と言われていますが、医師の説明不足やカルテ上の伝達ミスなどがあり、治療内容にまで不安を感じることがあります。オンライン診療などで、セカンドオピニオンを利用された方はいますか? 紹介状なしでも検査結果やこれまでの治療内容がわかれば、お話を聞いていただける病院もあるのでしょうか。

さまざまな要因が絡みあい正解が一つではない不妊治療

たとえば、がんの治療で「手術をする」という病院の治療方針に対して、「手術をしない」など、異なる治療を検討する時にセカンドオピニオンは有効だと思います。

一方、不妊分野でいうセカンドオピニオンは少しニュアンスが違う気がします。不妊症は疾患であって病気ではないですよね。さらに年齢や治療年数、要因などが複雑で、パターン通りに治療できない難しさもあるからです。そのなかで医師の説明不足については、私も満足な説明ができているか自信がありません。時間をかけてお話ししても、最終的に不安が残っていれば説明不足となるでしょう。また、カルテ上の伝達ミスも、最近の電子カルテは各医師の考えをメモとして書き残すことは難しく、事実のみが記録されます。特に一人の患者さまを複数の先生が診る施設では、カルテ上の事実に対して、各先生の治療の考え方が異なっていれば、「今日の先生に伝わっていないな」ということもあるかもしれません。

セカンドオピニオンを受けてもそこで治療できなれば迷う結果に

Waiwai さんは「県内で最後の砦」といわれるような不妊治療施設が少ない地域にお住まいのようですが、セカンドオピニオンを受けた後、ほかの施設にスムーズに転院できるのでしょうか。私の医院で地方在住の初対面の方からオンラインで相談を受けた時は、その方がどこにお住まいで、どこで治療をされていて、どこに転院できるかまで考えてお話ししています。

転院先がたくさんある大都市と違い、地方で「その施設しかない」となれば、県境を越えて何時間もかけて通院しないといけないこともあります。そのような場合、転院を示唆することはその方にとってベストなセカンドオピニオンではない場合もあると思います。

セカンドオピニオンを受けるということは、おそらく半分は「その病院の方針に従いにくいな」ということだと思います。そのなかには、先生との相性や自分の希望に沿ってもらえていないという不安があるのかもしれません。もし、この不安を解消するためのセカンドオピニオンなのであれば、これまでと違う治療方針が提案された時に、迷うだけの結果になることもあります。

また、転院の覚悟を決めていても、転院とは治療をハーフリセットすることです。通院時間の大きな負担増が他の要因の負担増も引き起こし、さらに辛くなることもあり得ます。

説明不足と感じたら納得するまで質問しましょう

セカンドオピニオンはもちろん大事ですが、その前に担当の先生とうまくコミュニケーションを取る努力をしてみませんか。医師も元気な赤ちゃんを無事出産されることを願ってお薬の選択にも注意をはらい、最善の治療を模索しています。ただ、日々の業務のなかで、つい言葉足らずになっていることがあるのかもしれません。担当の先生が説明不足だと感じるのであれば、「これについてもう少し教えてもらえませんか」と不安を解消できるまで説明してもらいましょう。

患者さまも医師もお互いに人間ですから、もちろん相性はあります。でも嫁姑の関係と同じで、お互いに合わせる努力をすることも大切だと思います。それでも不安が解消されないようであれば、ご自身にとって転院や治療をリセットする価値があるのかどうかを考えて、セカンドオピニオンを受けられてはいかがでしょうか。

秀子の格言

「 まずは先生とうまくコミュニケーションを。 それがだめなら、セカンドオピニオンを選択肢に 」

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。