妊活中は、一回の周期だって無駄にしたくないものです。
ましてや、年齢が高くなればなるほど…
誘発方法はどうしたらいい?
見尾 保幸 先生に教えていただきました。
ミオ・ファティリティ・クリニック 院長 見尾 保幸先生
鳥取大学医学部卒業後、同大学医学部産科婦人科を経て、1993年「ミオ・ファティリティ・クリニック」を開設。婦人科から不妊、産科外来まで女性の生涯にわたる部門を併設。タイムラプスシネマトグラフィー装置を独自開発して第一人者で、ヒトの卵子を精子が受精する瞬間を世界で初めてとらえた。妊娠・出産の夢に向かって頑張るカップルのサポートを行っている。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
hachi(41歳) これまでに採卵5回・移植2回行ってきました。
採卵はすべてアンタゴニスト法で、1回目の採卵の後、移植をしましたがダメでした。
■1回目:8個採卵→6個未熟→1個胚盤胞・1個初期胚凍結(クロミッド×フェリング150)
■2回目:10個採卵→2個未熟→1個初期胚凍結(クロミッド×フェリング300/点鼻・hcgのダブルトリガー)
■3回目:8個採卵→6個未熟→凍結ならず(クロミッド×フェリング150/点鼻・hcgのダブルトリガー)
■4回目:10個採卵予定→5個採卵・5個空胞→1個胚盤胞、1個初期胚で凍結(クロミッド×ゴナールエフ150/リープロレリン・hcgのダブルトリガー)
■5回目:7個採卵予定→5個採卵・2個空胞→2個初期胚で凍結(クロミッド×ゴナールエフ150/リープロレリン・hcgのダブルトリガー)
4・5回目ではトリガーを変更したのが良かったのか未熟卵は解決されましたが、採れる卵の数は減りました。
セカンドオピニオンに行ったクリニックでは「高齢の方はロング法が成績がいいから、次回はロング法がいい」と言われましたが、
今通っている(採卵を5回した)クリニックでは「未熟卵が多いので点鼻でのダブルトリガーができないロング法は選択肢になく、注射でのダブルトリガーであるならわざわざ2周期使う必要もない」と言われ、どうしたらいいのかわからなくなってきました。
そもそも卵の数を増やすために高刺激をしても結局は5個ぐらいだったり、凍結できるのも数が少なかったりで、低刺激の方がいいのでは?とも思い始めています。
年齢のこともあり1日でも若い卵を確保しておきたいと考えています。
次回採卵の刺激法や対策など教えていただきたいです。
採卵はすべてアンタゴニスト法で、1回目の採卵の後、移植をしましたがダメでした。
■1回目:8個採卵→6個未熟→1個胚盤胞・1個初期胚凍結(クロミッド×フェリング150)
■2回目:10個採卵→2個未熟→1個初期胚凍結(クロミッド×フェリング300/点鼻・hcgのダブルトリガー)
■3回目:8個採卵→6個未熟→凍結ならず(クロミッド×フェリング150/点鼻・hcgのダブルトリガー)
■4回目:10個採卵予定→5個採卵・5個空胞→1個胚盤胞、1個初期胚で凍結(クロミッド×ゴナールエフ150/リープロレリン・hcgのダブルトリガー)
■5回目:7個採卵予定→5個採卵・2個空胞→2個初期胚で凍結(クロミッド×ゴナールエフ150/リープロレリン・hcgのダブルトリガー)
4・5回目ではトリガーを変更したのが良かったのか未熟卵は解決されましたが、採れる卵の数は減りました。
セカンドオピニオンに行ったクリニックでは「高齢の方はロング法が成績がいいから、次回はロング法がいい」と言われましたが、
今通っている(採卵を5回した)クリニックでは「未熟卵が多いので点鼻でのダブルトリガーができないロング法は選択肢になく、注射でのダブルトリガーであるならわざわざ2周期使う必要もない」と言われ、どうしたらいいのかわからなくなってきました。
そもそも卵の数を増やすために高刺激をしても結局は5個ぐらいだったり、凍結できるのも数が少なかったりで、低刺激の方がいいのでは?とも思い始めています。
年齢のこともあり1日でも若い卵を確保しておきたいと考えています。
次回採卵の刺激法や対策など教えていただきたいです。
妊娠の仕組み、卵胞発育、胚発育、体外培養環境、等に極めて精通した信頼できる医療者を⾒極めることが極めて重要です。
我々の経験から、ネガティブにならず、的確な対応で治療を繰り返せば、累積妊娠は40歳以上でも8割を超えます。
お⼦さんの夢は叶います。⼩⼿先の⼿法でなく、論理的発想と⾼い専⾨性が必要です。
☆次回採卵の対策
卵胞発育、卵⼦の質に関して、知って頂きたい基本的事項があります。各⽉経周期に育つ卵胞は、予め⽤意(卵胞のリクルート)されており、⾃然周期では、それらの卵胞が成⻑しながら、卵胞ホルモンを多く産⽣する卵胞が選ばれ(卵胞のセレクション)、残りの卵胞は変性し、最終的に1個の成熟卵胞が排卵に⾄ります。卵⼦を少しでも多く採取したい治療周期では、⽤意されている卵胞を⼀つ残さず育て、発育した卵胞から卵⼦を採取しようとするものです。ですから、基本的には、刺激⽅法とは無関係に、各⽉経周期で育つ卵胞の数は決まっています。通常は、卵胞期初期より FSH/hMG を⽤いて強めの刺激を⾏い、早期の排卵を抑制するために GnRH アナログや⻩体ホルモン剤を使います。刺激⽅法等で発育卵胞の数や卵⼦の質をコントロールはできません。良い卵⼦に出会える時を待つのみです。
☆編集部よりの質問
1)卵⼦の質や未熟卵⼦は、年齢的要因でしょう。卵⼦の質的低下が進んでいることは仕⽅なく、その中で、⽐較的良好な卵⼦に出会えるよう反復するしかないと思いますし、強いて⾔えば、年齢の⾼い⼥性の受精卵では、透明帯と卵細胞膜の癒着が起こっている可能性が⾼く、我々の「透明帯除去法」が効果的なケースは多いと考えられます。
☆不妊原因
年齢を考慮すると、腹腔内には当然⼦宮内膜症が発⽣し、⼦宮筋腫もできます。しかし、何より、卵⼦の質的低下が重要で、健康な卵⼦でなければ妊娠には⾄りません。
☆排卵誘発法
前述の通りですが、⽤意されている卵⼦を1個たりとも逃さず採取しようとすれば、強い刺激でなければだめだと思います。そのうえで、排卵抑制に使う薬剤はどれでも良いと思います。繰り返しますが、刺激法と卵⼦数や質は無関係です。
☆今後の対応
年齢、反復治療、など、これまでの経緯を考えると、採卵後胚盤胞まで育て、着床前遺伝⼦検査で正倍数性を確認した胚の移植を考えても良いと思います。⽣命倫理的問題をご夫婦が受け⼊れ可能であればですが。それと、体外培養環境がどこまで体内環境に近似しているかも重要です。より良い体外培養環境でなければ、胚の発育は⾒込めません。