【Q&A】体外受精するべきか~林 直樹 先生

高齢妊活では、自身の健康に問題がない場合、自然妊娠に任せるか、それとも体外受精からチャレンジすべきか、考えますよね。

可能性について、林先生に聞いてきました。

ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生 1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕 微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限 り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

 

メアリーさん(43歳) 
私は現在43歳、夫は49歳です。
42歳の時(2021年4月)に再婚し、妊娠経験のありません。
結婚して半年ぐらいまではひどいアトピーだったため、妊活もままならない状態で、アトピーの症状もよくなり本格的に妊活を始められたのは、3ヶ月ぐらい前からです。(結婚当初から葉酸サプリは夫婦共に摂取しています。)
11月に、一通りの不妊検査を受けようと思い、夫と共に受診した結果、私も夫も数値的には状態がよく、異常なしでした。
卵管もきれいに通っていると言われました。
不妊治療するとしたら、年齢的にも今すぐ体外受精を勧めると言われましたが、一方で、確率は自然妊娠も体外受精も3%程度なので、体外受精も費用がかかるため、強くは勧めません、と言われました。
体の状態が悪ければ不妊治療も積極的に考えましたが、二人共現時点で問題がなかったので、
どちらも確率が低いなら自然に任せて、できたら嬉しいし、できなかったら二人の生活を楽しもうと夫婦で話をしました。
しかし、この選択が本当に良いものなのか、
確率が低くても体外受精にチャレンジした方が、自然妊娠よりは望みがあるのかなど、どこかでまだ悩んでいます。
セカンドオピニオンとして他の病院で相談するにも、どこに行ったら良いかわからないのが現状です。
夫婦が納得行くように決断するのが一番だとは思いますが、専門的な意見も伺いたく、ご相談させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

ご夫婦の場合、仮に不妊期間(避妊していない期間)が1年として、諸検査で異常がみられないとしたら、原因不明不妊症の自然妊娠率予測ノモグラムを用いて算出すると、向こう1年間の推定自然妊娠率は約10~20%と算出されます。
さらに妊娠されないで半年経過した時点で推定自然妊娠率は、向こう1年間ではほぼ10%となります。
一方、体外受精治療で1回の胚移植あたりの生児獲得率は43歳女性の場合、6%(着床前染色体異数性検査を行わない場合)となります。
決して双方とも高いわけではありませんがチャンスが無いわけではありません。自然妊娠を決してあきらめる必要はないですが、体外受精の限界も理解されたうえで、チャレンジすることもあってよいと思います。またAMH値が2.56と年齢の割には比較的高値です。
これは体外受精治療において採卵数の増加と直結しており、卵の質とは関係ありませんが、より多くの卵から最適な卵に出会う可能性が高まるため良い条件かと存じます。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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