チーム医療で臨む不妊治療~培養士の役割

不妊治療においてチーム医療は欠かせません。特に、受精卵を扱う培養士は、体外受精において大きな役割を担う存在です。今回は、うえむら病院 院長・上村先生と、培養士の大城さんに不妊治療における胚培養士の役割についてお話をうかがいました。

うえむら病院 院長 上村哲 先生 熊本マリスト学園高校卒業。1988年、久留米大学医学部卒業。沖縄県立中部病院、医療法人登誠会諏訪マタニティークリニックを経て、2008年医療法人海秀会うえむら病院、同理事長・院長に就任。

不妊治療における胚培養士の役割を教えてください。

彼らの力なくしては生殖医療を遂行することが出来ないと言っても過言じゃないほど、不妊治療において重要なポジションだと考えております。

胚培養士としての経験がない方でも、一から教育して質の高い治療を提供できるようにしております。

胚培養に関して、患者様にもっと注目してほしいことや興味を持って欲しいことはありますか?

「いい卵子」を作るためには母体の体質改善や肥満解消が必要となってきます。

基本的には、ジムに通わなくても日常生活の中で行える適度な運動を推奨しています。具体的には一週間で5日、40分程度の体を使ったお掃除を勧めています。全身を使った運動になりますし、日常生活の延長線上で継続できるので費用をさほどかけることなく肥満を解消することができるという利点があります。それでも改善しない場合に卵子の質を高めるPQQなどのサプリメントを勧めることもあります。

先生が「チーム医療」において大切にされていることはどんなことですか?

不妊治療に携わる全てのスタッフが専門知識を持つことで部署間の連携が上手くいき、質の高い治療をご提供できます。

また、当院では不妊治療の“来院者の制限”を特に設けておりません。患者さん自身が納得いくまで治療に取り組めるように職員一丸となってサポートすることを大切にしております。

最後に、患者様へのメッセージをお願いします。

患者様にもご自身の「卵子・精子」に、もっと興味を持って頂きたいという気持ちがあります。ご夫婦で納得のいく治療を受けるためにも、治療を全て病院任せにするのではなく一緒に命を育んでいることお伝えすることが出来たらと思います。

一般的にはあまり知られていない職業ですが、どのようなきっかけで培養士になられたのでしょうか?

胚培養士 大城要平(おおしろようへい)さん
転職活動をする中で培養士という職種があることを知りました。前職は微生物の培養等を行っていたので無菌操作の経験を活かせるのも理由の一つでしたが、何より生命の誕生をサポートする、とてもやりがいがあって魅力ある仕事だと思いこの仕事に就きました。

精子や胚の状態を観察している時は、どのようなことをチェックしていますか?

精子の方は第一に精子の数と運動性をチェックしております。それから媒精方法によってその媒精方法に合う精子の調整方法を選択しています。また、顕微授精の際は、人の目でみてからの精子選別になってしまうのでなかなか良質な精子を選ぶのが難しくなります。より良い精子を選択するために、良質な精子はヒアルロン酸と結合するという生理的特性を利用して、今年からはヒアルロン酸を用いての精子の選択を行っています。

胚の観察では、一番に受精確認をしっかり行うようにしております。正常受精なのか、異常受精なのか、それとも受精が判別できない卵なのかでその後の胚の取り扱いは大きくかわり、治療に大きく影響します。そのため、判別しにくい胚などは他のスタッフにも確認してもらいダブルチェックをするように心がけています。また、2019年より、タイムラプスインキュベーターを導入することにより、今までよりも正確に受精確認の観察ができるようになりました。

患者様と接する時に心がけていることや、培養士として大事なことはどんなことでしょうか?

当院では今のところ培養士が患者様と接する機会というのはほとんどありません。そのため、私たち培養士がどのように治療に携わっているのかを知らない方も少なくないと思います。今後、私たちのお仕事の中身を少しでも知っていただける機会を設けていければと考えております。

培養士として大事にしていることは、安心・安全の治療を提供するということはもちろん、常に最先端の治療をご提供できるように心がけています。年々、新しい技術、新しい機器や培養液等が出てきますので、よりよい治療をご提供できるように少しずつアップデートを重ねています。

「チーム医療」において大切にされていることはどんなことですか?

どの職種においても大切で基本的なことであると思いますが、ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)を大切にしています。例えば、沖縄だと台風がよく来るので融解する胚の予定日の確認、相談はとても大切になります。また、急な体調不良等でキャンセルになってしまう場合など、すぐに培養室の方へ連絡していただけるように看護師さんをはじめその他のスタッフさんにお願いしてご協力していただいております。

最後に、患者様へのメッセージをお願いします。

泳いでいる精子や細胞分裂を繰り返して成長していく受精卵をみると 「生命を扱っているんだなぁ」と神秘的な気持ちになるとともに「大切に、大切に」と日々緊張感をもって治療にあたっております。赤ちゃんを望むご夫婦のお力に少しでもなれるように、サポートしていければと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。