ジネコは妊活中の方、不妊治療に悩まれている方を応援するため、毎月、無料のオンライン質問会を開催しています。
オンライン質問会では、事前に寄せられた疑問や悩みをドクターがQ&A 形式で答えてくれます。
参加費は無料です。ぜひ、ご参加ください。
蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
デュファストンⓇを飲むとひどい頭痛になるのですが
39歳です。人工授精後にデュファストンⓇを処方され飲みましたが、生理時に吐くほどの頭痛に襲われました。通常は生理の際に頭痛はなく、黄体ホルモンが低いと言われたこともありません。
司会●デュファストンⓇとはどんなお薬ですか?
蔵本先生●このお薬は、合成黄体ホルモン製剤で、着床期の子宮内膜を着床しやすいようにする作用があります。ただし黄体ホルモンの副作用の一つとして、投与開始して数日間は、頭痛や眠気、浮腫(むくみ)、肝機能障害や腹痛があることがあります。ただ、この方は薬を飲んでいる時ではなく、月経がきた時に頭痛が起きるとおっしゃっていますよね。飲んでいる時には頭痛はなかったのでしょうか? そのあたりの因果関係がちょっとはっきりしません。一時的に鎮痛剤を飲まれても構いませんが、まずは主治医としっかり話し、毎回同じことが起こるようであれば、止められたほうがいいでしょう。
司会●この薬はよく使われるものなのでしょうか?
蔵本先生●一般的には、副作用が少なく使いやすいお薬ということで、我々もよく使っています。人工授精後に処方することも多く、カウフマン療法で月経周期を整えるために使用したり、妊娠初期に切迫流産の治療薬として出す場合もあります。
この方は、黄体ホルモンが低いわけではないとのことなので、人工授精にあたって、HCG 注射を5000 単位で打って排卵をさせたら、hCG 自体が卵巣内の黄体を刺激して排卵後の初期の黄体維持に役立ちますから、デュファストンⓇを無理して飲まなくてもいいのではないかと思います。
AMHが低いのですが、採卵の効率を上げる方法はありますか?
現在36歳です。低AMHで採卵を繰り返していますが、なかなかうまくいきません。この場合は回数をこなすしかないでしょうか? また、前核期胚を凍結するメリットについても教えてください。
司会● AMH が低い方の採卵は難しいのでしょうか?
蔵本● AMH は抗ミュラーホルモンの略で、卵巣予備能(卵巣の中に残っている卵子の目安)と相関しています。36 歳の方ですと、正常な胚を得るのに約15 個の卵子が必要だという報告もあります。1 回3 個なら5 回の採卵が必要となり、繰り返し備蓄していくことは一つの方法といえます。運が良ければ1 回目で質の良い卵子が採れることもあります。難しい場合は、卵巣刺激法を変えたり、培養液を毎回少しずつ変えるなど、いろいろな方法を試してはいかがでしょうか。特に培養環境は重要です。ストレスの影響も大きいですから、基本的なことですが、バランスの良い食事と規則正しい生活、適度な運動を心がけて。パートナーと相談して、ストレスを感じた時は、2~3カ月休んでみることも大切です。
司会●前核期胚凍結のメリットについてはいかがでしょう?
蔵本●凍結のタイミングは、受精直後の前核期凍結、細胞分裂をした分割期胚、最終段階の胚盤胞とありますが、受精卵に一番ストレスがかからないのが前核期胚です。またキャンセルなく必ず凍結することができることもメリットです。妊娠率が高いのは胚盤胞凍結ですが、卵子の数が少ない場合は確実に凍結できる前核期胚で。お金と時間が許せば、4個目以降は分割期胚や胚盤胞凍結を組み合わせるといいと思います。