人生の台本を書き換えてみては

田村秀子先生の心の玉手箱Vol.40

死産や治療の不成功が続き、気持ちを奮い立たせようとしても、これからの治療への不安と、友人の妊娠や心ない言動に心が折れそうです。どうすれば前を向けるでしょうか? 秀子先生にお聞きしました。

田村秀子婦人科医院 田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991 年、自ら不妊治療をして双子を出産したことを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995 年に不妊治療部門の現クリニックを開設。
にじさん( 39歳) からの投稿 37 歳の時に流産。1年後の体外受精で妊娠6 カ月目に死産しました。残りの胚盤胞を3 度移植しても妊娠に至りません。胚盤胞は残っていますが、再度採卵を提案されています。気持ちを奮い立たせてきましたが、不成功の結果が続き、「死産したあの子だけが、生まれる胚だったのではないか…」「次の採卵で正常胚はできるだろうか…」と心が折れそうです。そんな時、20 年来の友人から妊娠報告と結婚式に招待されました。死産した私に妊娠初期の経過報告や相談されることが苦しく、「結婚式に参列できない」と伝えると、「そう言うと思った」と言われました。前を向いて頑張りたいのに、今後の不妊治療の心配と友人の言葉が頭から離れません。励ましのお言葉をいただけないでしょうか?

お子さんはあなたが悲しむことを望んで天にいったのではありません

にじさんが初盆、出産予定日(お誕生日)といって、失ったお子さんに気持ちが向いているうちは、次の赤ちゃんは遠いかな。亡くなったお子さんは、そんなことを望んで天にいったわけではないと思います。

親の死もそうです。私は両親と義父を亡くしましたが、親を見おくるたびに「ああしてあげればよかった」と悔やみます。でも親はそんな姿を望んでいるでしょうか。「あなたはちゃんとやってくれた」と思ってくれているはずです。

天にいるお子さんは、この世よりも高みの尊い存在として、あなたを見守ってくれていると思います。ですから、「わが子は残念ながら天にいってしまったけれど、私たちを見守り、力をくれている。だから、そのうち赤ちゃんを授かれるはず」というふうに、自分の人生の台本を書いて、前進されてはどうでしょうか。そうしなかったら、亡くなったお子さんに申しわけないと思うのです。「私(僕)が生まれてあげられなかったために、お母さんがこんなに苦しんでいる」と、心配をかけているかもしれませんよ。

自分が幸せになるための台本に書き換えましょう

流産した患者さまにも、「天にいったお子さんはあなたを苦しめたり、悲しませたりするためではなく、天から見守るという守護霊のような役割をもって、ここに来たのだと思います。だから、いつもその子に見守られていると思ってはどうですか?」とお話ししています。

自分を鼓舞するような台本に書き換えることはいくらでもできます。とはいえ、台本はあくまでも台本ですから、現実に立ち返った時に涙があふれることもあります。失ったものを忘れることはできないし、二度と会うこともできないのです。自分の気持ちを切り替えるしかありません。

にじさんも自分が書いた台本を読み返し、天にいるお子さんに助けてもらいながら、「また明日から頑張って生きよう」というふうに考えていきましょうよ。自分のもとにきてくれた子どもが、自分のために尽くしてくれると思えたら、もっと楽になるのではないでしょうか。

採卵や胚移植のたびに「また、うまくいかないのでは…」と不安になるのは自然なことです。それを感じないようにするのではなくて、次は、天にいるお子さんに「○○ちゃん、見守っていてね」と話しかけながら、お守りのようなものを握りしめて採卵や移植に臨むといいと思います。それでもうまくいかなかったら、次はもっと大きな心の声でお願いしてみましょう。

お友だちについては、本音でぶつかることなく、そのままの関係を続けていくのであれば、静観するのが一番。ただ、心の中ではちょっと悪い人になって「江戸のかたきは、長崎で討つ」な〜んて想像するだけで、気持ちが軽くなりますよ。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。