二人目不妊_両側卵管閉塞の初期胚移植

卵子や精子の通り道である卵管の閉塞が、不妊の原因となるケースは少なくありません。このような卵管閉塞が両側にある場合、初期胚の移植は難しいのでしょうか。二人目不妊についてのアドバイスも含め、育良クリニックの浦野晃義先生にお話をうかがいました。

浦野晃義先生 育良クリニック 帝京大学医学部卒業。帝京大学医学部付属ちば総合医療センター、総合母子保健センター愛育病院、竹田総合病院、国立成育医療センターで産婦人科医の経験を重ね、2014年に育良クリニック院長に就任。2019年に生殖医療科を増設。産婦人科専門医、麻酔科標榜医、母体保護法指定医、新生児蘇生法専門コースインストラクター、NCPR終了認定者患者様に寄り添った診療を心がけています。

両側卵管閉塞。二人目希望。初期胚でも妊娠可能か

みーさん(25歳)胚盤胞移植化学流産におわりました。残ってる卵は初期胚しかありません。

初期胚は卵管で成熟して胚盤胞になって子宮に着床するとネットで見ました。両側卵管閉塞の不妊に初期胚移植は可能なのでしょうか。

また、初期胚移植での妊娠率はとても低いのでしょうか。

両側に卵管閉塞があると初期胚での妊娠は難しいでしょうか

卵管閉塞でも初期胚の移植が可能かということですが、まず、みーさんがネットで見られた内容は「卵管回帰説」というものになります。これは「子宮に戻した受精2~3日目の受精卵(初期胚)は、いったん卵管に移動して胚盤胞に成長し、最終的に子宮に戻って着床する」という考え方で、この節を唱える先生は少なくありません。ただ、実際には卵管がない方に初期胚を移植して妊娠するケースもあるので、初期胚が残っているのであれば、まずは試してみるのは一つの手かもしれません。

初期胚の移植では妊娠率は低いのでしょうか

初期胚と胚盤胞を比べると、確かに胚盤胞のほうが移植の成績(妊娠率)は高くなります。そのため、当院では胚盤胞の移植を第一選択肢としています。

胚盤胞はすでに初期胚よりも更に淘汰を受けた、いわば「勝ち残ったエリート」です。対して、初期胚は「エリート予備軍」ではありますが、胚盤胞になる前に淘汰されてしまう可能性が残っています。今はタイムラプスという培養器の登場で培養技術が向上し、ストレスのかからない状態で初期胚を胚盤胞に成長させることができようになったので、可能ならば初期胚より胚盤胞移植のほうが望ましいと考えています。

ただ、これも考え方の問題で、施設によっては人工的に培養されていない初期胚のほうが妊娠につながりやすいと考える施設もあります。また、当院でも胚盤胞の移植で妊娠しないときは、初期胚の移植に切り替えたりします。凍結した初期胚を一度溶かし、胚盤胞まで培養するということも行われていますので、かかりつけの先生とよく相談することが大切です。

 

初期胚で妊娠しなかった場合、その後の治療方針はどうなりますか?

一般的には両側に卵管閉塞がある場合、自然妊娠は期待できません。ですので、二人目を考えるときは、やはり体外受精を念頭に置く必要があります。質問の内容だけではわかりかねますが、みーさんはおそらく一人目も体外受精をされ、妊娠されたのではないでしょうか。そして残った受精卵を移植する、あるいはする予定なのではないかと推測されます。

今後、初期胚で妊娠できなかった場合ですが、年齢が25歳とまだ若いので、もう一度採卵から始める必要はありますが、再度、体外受精を試みてもよいのではないでしょうか。あとは、卵巣刺激の方法を最初のときと同じにするのか、別の方法に変えるのか。これは最初の採卵の状態を考慮した上で、先生と話し合って決めるとよいと思います。

先生のクリニックには二人目不妊で治療中の方はどれくらいいますか

当院の生殖医療は産科に併設されていることもあって、二人目不妊の方がとても多い印象があります。婦人科検診などの受診時に「実は二人目ができなくて……」と相談され、それをきっかけに検査を受け、治療を始められる方も少なくありません。二人目について相談される方の多くは「一度、妊娠できたのだから、次もできるはず。なのになぜ?」と口にされますが、一人目のときとは年齢が違います。一般的に妊娠率は30歳を境に緩やかに落ち、35歳で急激に落ちるといわれていますが、これは二人目不妊でも変わりません。

二人目不妊の方に向けて先生からメッセージをお願いします

出産経験があるとどうしてもおおらかに考えてしまいがちで、また、お子さんの子育てが優先されるので、こうした問題は後回しにしがちです。しかし、二人目を考えるのであれば、ある程度の計画を立て、行動することが大事です。

まずご夫婦でできることはしっかりやっておきましょう。その一つがタイミング法です。排卵検査薬を使い、基礎体温も付け、医療機関で行うような厳密なやり方で行っても良いと思います。ご年齢にもよりますが4~6周期続けても妊娠しないようなら、一度、婦人科などで相談されたほうがよいでしょう。先ほど女性は年齢と共に妊娠しにくくなると申しましたが、男性はストレスや生活習慣病で精液所見が悪くなることが知られています。女性だけでなく、男性にも検査を受けてもらうことをお勧めします。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。