40代の体外受精では「採卵数が少ない」「胚盤胞に育ちにくい」という切実な声をよく聞きます。採卵数や胚の質にもかかわる刺激法は、どのように選択されるのでしょうか。徐クリニックARTセンターの徐東舜先生に教えていただきました。

徐 東舜先生(徐クリニックARTセンター)大阪大学医学部卒業。大阪大学病院、愛染橋病院、大阪府立成人病センター、西宮市立中央病院(医長)を経て、2000年、徐クリニックARTセンターを開業。産婦人科専門医。生殖医療指導医。妊娠・出産にいち早く近づけることを最優先に、質の高い治療でサポート。腹腔鏡や子宮鏡手術は1000例を超える。

(ステラさん・41歳)多発性子宮筋腫の腹腔鏡手術を2回しています。そのため、タイミング法などは試さず、すぐに体外受精を開始しました。クロミッドの低刺激法で1周期目は5分割くらいの胚を移植して陰性。2周期目は胚盤胞まで育てる予定が、6日目に培養中止。3周期目の採卵はすべて空胞でした。AMHは3.2で、夫の精子にも問題はないようです。低刺激法では採卵できても1個。胚盤胞まで育たなければ移植できません。子宮筋腫で採卵が簡単でないのと、仕事の調整のしやすさでも高刺激法がいいのでしょうか?

 

41歳でAMHが3.2。高刺激法がいいですか?

 

ご年齢からするとAMHの数値は高めで、低刺激法よりも高刺激法が向いていると思います。たとえば、AMHが0.2〜0.3と低い方は卵巣機能の低下が考えられます。そのため高刺激法では採卵数が増えにくく、低刺激法が第一選択になります。一方、AMHが3.2付近であれば高刺激法により、1回の採卵で10個程度の卵子が採れる可能性があります。

41歳の人が1人の赤ちゃんを授かるためには、平均15〜20個の卵子が必要といわれています。クロミッドを使用した低刺激法では、1周期に1〜2個しか採卵できません。また、採卵はできても受精卵が順調に育たない周期は移植ができなくなり、妊娠のチャンスを失うことになります。このような方に低刺激法は良い選択とはいえません。

 

今後はどのように治療を進めていくのがいいですか?

 

ステラさんはアンタゴニスト法などの通常の高刺激を行うことで、1回の採卵である程度の数の卵子が採れると思います。たとえば1回に15個以上、採卵できれば、そのうちの50%の卵子は妊娠・出産につながる可能性があります。できるだけ早めに高刺激法で2〜3回採卵し、良好胚を凍結しておくなど、すべての採卵を終えてから移植に進まれるといいでしょう。

 

現在、子宮筋腫ができていないのでしたら、治療に対してはあまり気にされることはないと思います。子宮筋腫が採卵に影響する心配もありません。(妊娠自体には影響する可能性があります)

また、自然の排卵に左右される低刺激法とは異なり、高刺激法は注射を打つ日を決めて、採卵日を予測することができます。お仕事と治療の両立など、スケジュールをご自身でもコントロールしやすくなります。

刺激法の選び方は施設によって異なりますか?

 

刺激法を選ぶ基準は、年齢やその方の条件、さらにクリニックの方針によっても異なります。たとえば、年齢が若い方は低刺激法で採卵した1〜2個の卵子でも妊娠・出産できる可能性は高くなります。一方、年齢が高い方は治療できる時間が限られています。このまま低刺激法を繰り返されていると、時間の経過とともに妊娠・出産はむずかしくなります。

もしも担当の先生に高刺激法での採卵を希望しても、受け入れてもらいにくい場合は、転院を考慮されるのも一つでしょう。

とくに年齢が高い方で、AMHが高く卵子がたくさん採れるようであれば、高刺激法の採卵を提案してくれる施設や、その方の条件に合わせて柔軟に対応してくれる施設がいいと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。