出生前診断 〜2021年最新版〜

青葉レディースクリニック 小松先生のプレママ教室

『出生前診断』〜2021年最新版〜

出生前診断とは胎児期に胎児の病態をできるだけ正確に調べる検査です。その病態に応じて、胎児期に治療を開始したり、生後すぐに必要な治療の計画を立てることが可能となり、家族が心の準備をする時間的余裕も生まれます。

青葉レディースクリニック 小松 一 先生 高知県出身。1995 年九州大学医学部卒業。九州大学病院周産母子センターや北九州市立医療センター、九州厚生年金病院などで研鑽を重ね、2007 年に「青葉レディースクリニック」を開業。高齢出産を多く手がけており、安心できる分娩をモットーにしている。

出生前診断が増える背景について

出生前診断は近年、超音波装置や新しい遺伝学的検査法の開発によって診断技術が向上し、胎児期や新生児期での正確な診断と治療が可能となりました。一方、致死的疾患や染色体異常が見つかった場合の対応は、生命倫理的な観点から、現在も有識者の間で議論され続けています。

胎児の先天的な疾患は3〜5%(そのうち染色体異常は25%)に認められ、母体の出産年齢が上がると常染色体の異常をもつ胎児が増えることが知られています。ダウン症の場合、出産年齢が20歳では1441分の1ですが、40歳では84分の1と高くなります。「高齢でも、健康な赤ちゃんを安心して産みたい」と、出生前診断を希望する患者・家族は増え続けています。

出生前診断の方法について

出生前診断には、エコー検査とも呼ばれる超音波検査と、母体血中に存在する胎児由来の生化学物質(母体血清マーカー)や羊水を用いて染色体や遺伝子を調べる遺伝学的検査の2つがあります。

超音波検査は妊娠14週までに胎児数、胎児の頭部や顔面、首、脊椎、四肢に異常がないかを診断、20週で口唇など細かい形態、28週以降はほとんどの臓器、頭部、心臓、消化管などを詳しく診ます。

羊水や胎盤絨毛細胞の採取は侵襲的検査と呼ばれ、お腹に針を刺すので、若干痛みを伴います。また、1〜0.3%程度に流産の可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。染色体検査は診断確定検査ですが、微細な欠失や重複と呼ばれる異常は評価できないため、マイクロアレイという新しい方法が提唱されています。

検査後のトータルケアについて

診断機器は飛躍的に進歩していますが、妊婦健診という限られた時間の中で正確に診断するには高度な知識と技術が求められます。また、不安を抱く患者さんにはメンタルケアに配慮して、丁寧に説明する必要もあります。当院で確認した胎児病には先天性水頭症や口唇裂、先天性心疾患など多くの疾患が含まれますが、出生前に正確に診断することによって、新生児医や各専門医とともに早期に治療計画を立てることができています。また、ご家族は出生前の丁寧なカウンセリングによって心の準備や周囲の環境を整えたうえで、スムーズに赤ちゃんを受け入れることができています。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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