プレママ教室Vol.1高齢妊娠

青葉レディースクリニック 小松先生のプレママ教室

読者の方はすでにご存じかもしれませんが、「不妊に悩む方への特定治療支援事業」が2021年度から拡充されることが、先頃発表されました。一方、高齢妊娠ではさまざまなトラブルが知られていますが、不妊治療で妊娠された方には高齢の方が多く、不安が尽きないと思います。

本稿では高齢妊娠の問題点、改善策などをお話しします。

青葉レディースクリニック 小松 一  先生 高知県出身。1995 年九州大学医学部卒業。九州大学病院周産母子 センターや北九州市立医療センター、九州厚生年金病院などで研鑽 を重ね、2007 年に「青葉レディースクリニック」を開業。高齢出 産を多く手がけており、安心できる分娩をモットーにしている。

高齢妊娠における問題点

高齢妊娠は流産しやすく、妊娠・分娩時のトラブルが増えます。   一般に、一度の妊娠で流産する確率は  10  ~ 15 %であると言われますが、 40歳の女性の場合、妊娠 11週までの初期流産をする可能性は40%、42歳では 50% を超えます。流産の約  60%は胎児の偶発的な染色体異常が原因で、避けることはできません。

高齢妊娠では胎児の染色体異常を気にする方が多いのですが、実際、加齢とともにダウン症候群を抱えたお子さんを出産する確率は増え、 40 歳では約 1/80です。出生 前診断を受けることはできますが、正確に情報を整理し、ご夫婦でしっかりと話し合う必要があります。

高齢妊娠では一般に、妊娠前からの高血圧、糖尿病などの合併症が多いことが知られています。また、年齢が高いほど、妊娠高血圧腎症、前置胎盤、帝王切開分娩の頻度が高くなります。

なお、初産婦と経産婦で比較すると、年齢が高くなると前者では帝王切開分娩が、後者では妊娠高血圧腎症が増えます。

年齢とともに、産科合併症のリスクが上がるのは自然なことです。いくら気をつけても、妊娠高血圧症候群や前置胎盤など多くの産科合併症を防ぐことはできません。

高齢妊娠に備えて、具体的なアドバイスを

日頃から、適度な運動、食生活や生活習慣の見直しなど、まず生活習慣病を予防することがとても重要です。喫煙は流産に関与しますので、ご夫婦で禁煙し、過度の飲酒も控えましょう。 30歳を過ぎても、婦人科を受診したことがなく、健康診断も受けたことがない方は、すぐにでも、婦人科を受診してほしいと思います。

受診の際は月経や不正出血に関する詳細な記録、基礎体温表は診療に役立ちますので、ぜひ持参してください。検査は子宮頸がん検診だけでなく、超音波検査や血液検査も受けて、子宮筋腫や卵巣囊腫、子宮内膜症、甲状腺疾患、糖尿病がないか調べ、早く適切に治療することが肝要です。

風疹も流行しているので、風疹の抗体の有無も調べたほうがいいでしょう。

葉酸も妊娠の2カ月前から、分娩まで摂取するように心掛けたいものですね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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