低AMHの場合の卵胞の刺激法について

病院での治療方針が適切か疑問です。転院したほうがいい?

空の森クリニック中島 章 先生 2003 年鹿児島大学医学部卒業後、久留米大学産婦人科、国立小倉病院で産婦人科として研修。国立成育医療センター、久留米大学、蔵本ウイメンズクリニックで不妊診療の研鑽を積み、2013 年より現職。2022 年春に空の森九州として久留米で開院し院長就任予定。産婦人科専門医、生殖医療専門医。

 

相談者 : ゆうこさん(36歳)去年の6月、皮様囊腫による右卵巣の腹腔鏡手術を受け囊腫のみ切除し、現在では左卵巣のみ排卵している状況です。今年1月から体外受精をスタートし、その際に測ったAMH 値が0.49ng/ml でした。1 周期のピル服用後、セミマイルド法で採卵したのですが、エコーでも卵胞が2 つしか見えず、結果1 つのみ受精、凍結しました。低AMH なので採れる卵胞を増やすために、刺激の強い治療法も試してみたいと医師には伝えています。ほかの排卵誘発法に希望があるなら転院も検討中です。

低AMH の治療方法にもいろいろ種類がありますが、どのような治療が適切でしょうか?

中島先生● 卵胞が育つかどうかは、AMH だけでは予測することはできません。ゆうこさんの担当医はタイミング法の段階での卵胞の発育状況なども加味して、治療法を選択していると思います。
 治療経過を見ると化学流産ではありますが、1度妊娠しているので自然妊娠ができる可能性を感じます。卵巣囊腫の程度にもよりますが、初診からわずか3カ月後に手術して、すぐに不妊治療を再開できている事などから、一切無駄のないマネジメントを感じます。このように早い対応ができるのは施設同士の連携がしっかり取れており、担当医の信頼度の高さが窺えます。
 私の場合は、まずクロミッドRの内服とHMG およびFSH の注射を試してみます。採卵では受精卵が1個しか凍結できなかったとありますが、凍結できた受精卵が4BB(グレード3以上、その中でも3BB 以上は良好胚)という胚盤胞です。36歳の胚盤胞だと50% の確率で妊娠できるのではないかと考えられます。
 刺激の強い治療法も試してみたいというご希望もあるようですが、私はあまり無理に刺激法を変更するよりは、良質の胚盤胞ができているので同じ方法で試みてみるのが定石ではないかと思います。また、高刺激法をすることでかえって、卵子の質を落としてしまうこともあるので、一概にどちらが良いとはいえません。

ご本人の思うように治療が進んでいないように感じておられるようですが。

中島先生●地元にクリニックが少なく、大きな病院になると、担当医はかなり忙しいかと思われます。そういった状況を考えると、便宜的にエコーを省略されている可能性は考えられます。また月経中の診察を嫌がる患者さんもいるので、刺激開始時で月経中のエコー診察はしないと決めている施設もあります。

要望をうまく医師に伝えるには?

中島先生●何を知りたいかを明確にして質問しないと、忙しい病院では医師にうまく伝わらないこともあります。「生理何日目で卵胞が何個以上あった場合、注射を打ってほしい」など具体的な希望を伝えることが必要かもしれません。もしくは医師に伝える前に看護師に相談してみてはいかがでしょうか。ゆうこさんの場合、妊娠の可能性は十分にあるので、リラックスして治療に専念できるといいですね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。