不妊治療において、裏方ともいえる「培養士」の仕事。今回はこの「培養士」の仕事に注目。東京・蒲田のキネマアートクリニックを訪問し、その仕事内容や役割についてお話を伺いました。

渋井 幸裕 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院客員講師を経て、2010 年、東京・蒲田に「キネマアートクリニック」を開院。クリニック名の「キ ネマ」は、クリニックのある蒲田がその昔現代劇映画の撮影スタジオ として栄えていたからなのだそう。

培養士」は不妊治療施設の要。ここ10年で確立されてきた仕事です

海外では胚培養士(エンブリオロジスト)という職業が早くから確立していましたが、日本で確立してからは、約10年ほどになります。日本においてはまだ不妊治療施設がここまで多くなかったころ、培養業務はすべて医師が行っていました。しかし、培養業務は時間もかかり技術も必要で、医師一人でこなすにはなかなか大変だったのです。

日本でもだんだん不妊治療施設が増え、ようやく「培養士」という仕事が一つの仕事として確立し、またニーズも大変増えてきました。ある程度臨床を重ねて受けられる、学会で認められた培養士の第一期生が当院の培養士、石田です。

当初は女性が多かった職業ですが、最近では男性も増え、不妊治療施設には欠かせない存在になっています。

患者さんには直接「培養士」に会って説明してもらいます

当院では、医師、培養士、看護師、受付、コーディネーター全員が要。スタッフ全員で患者さんをサポートしています。
患者さんにとっても培養士にとっても顔を見て話すことが重要だと考え、移植後の説明は医師による説明に加えて培養士が行っています。時につらい結果をお話しすることも、いい結果をお話しすることもありますが、実際に患者さんの卵を扱う培養士が現場の感覚でお話しすることも大切だと思っています。

石田佳江さん わからないことがあれば 納得いくまでお話しします! 移植前後はナーバスになり、ネットで検索し て落ち込んだりする方が多いのですが、誰 もが同じ結果にはなりません。ストレスにな るようなことは極力避けて、わからないこと は私たちにぜひ質問してください。

培養士になったきっかけは?培養室はどのようになっているのですか?

もともと私は臨床検査技師の資格を取るための学校に行き、その後不妊治療をするクリニックに就職し「培養士」という仕事を知りました。その就職先のクリニックで培養士をやってみないかと誘われたのがきっかけです。

キネマアートクリニックでは現在8名の培養士がいます。培養室は患者さんが目に触れることのない場所ですが、クリーンベンチ、インキュベーター、顕微鏡などたくさんの機械があり、当院でもかなりのスペースをとっています。ここで私たちは日々、精子、卵子のチェックから受精卵の成長、そして凍結などあらゆる業務を行っています。また、培養士全員が治療に関する情報共有もしています。

患者さんと接する際はどのようにお話しされるのですか?

当院では培養士が採卵や移植の時の介助もしますし、ドクターによる卵のお話のほかに移植後の受精卵について私たちも写真を見ながらご説明をしています。

患者さんの反応はもちろん人それぞれですが、グレードを気にしすぎる方が多いなという印象です。グレードがよくなくても移植できることもあるので、まずは移植できたのなら、それでよかったとプラスに考えていただきたいですね。そして移植したあとも今度はちゃんと着床するか…など悩みは尽きないものですが、私たちはここまで頑張ったということを褒めて、いったん休憩しましょうね、とご提案をすることもあります。もちろん、なかなかうまくいかない方もいらっしゃいますが、その場合は看護師も含めてフォローさせていただきます。私たちも日々「患者さまから卵をお預かりしている。卵にストレスを与えない」という気持ちで仕事に臨んでいます。

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