名古屋市立大学病院
Q 凍結胚盤胞の移植日は 黄体補充から何日目がベスト?
ドクターアドバイス
黄体補充から 4 日目に移植予定
生田先生 4 日目に移植するというのは珍 しいですね。分割期胚の移植なら 3 日目、胚盤胞移植なら 5 日目というのが普通で す。ホルモンコントロール周期では、黄体ホルモンの服用を始めることでいわゆる排卵した日をつくって、翌日から黄体期の 2日目とします。胚盤胞は受精後 5 日目でできるものなので、おおむね 5 日目の移植ということになります。
逆に、受精卵の発育が遅く 5 日目でも胚 盤胞になっていない時は、もう1日培養して胚盤胞の形になった 6 日目に戻す、ということはあります。また、いったん凍結して次の周期の 5 日目に移植することもあります。
では、くーさんも 11 日に移植したほうが よいということですね。
「着床の窓」については?
生田先生 わかりやすく言えば、受精卵が子宮内膜に着床できる黄体期の期間で、幅があってポイントではないので“窓”という表現なんです。人間の場合は実験ができないので正確なデータはありませんが、だいたい 3 日間くらいだといわれています。2 〜 3 年前からは、子宮内膜の状態が本来の移植に最適な時期とズレているのではないかとして内膜の発育分化状態を調べるERA(子宮内膜着床能検査)を行っている病院も見かけます。 3 〜 4 回胚移植をしてもなかなか着床しない方にこの検査をすすめる施設もありますが、費用は十数万円と高額です。
ただ、検査しても 2 日も 3 日もズレてい るわけではなく、せいぜい半日とか 1 日くらいのようです。ではそれを修正したら100%妊娠するか、というとそこは疑問。というのは、子宮内膜の状態だけでなく、その時々で受精卵の発育の速度も多少なりと異なるからです。最近は慢性子宮内膜炎が原因となるともいわれたりしています。胚移植や着床不全に関しては、まだよくわかっていないブラックボックス的なところがあり、「これが原因」と断言できるものはあまりないので難しい問題ですね。
なかなか着床しない場合は、移植する受精卵を 2 つにしてみるとか、二段階胚移植にするという以前からの方法もあります。
免疫系に異常がある場合も考えられるので、それを調べてみるのも一つの方法です。