Q 糖尿病の持病があっても 不妊治療はできますか?
ドクターアドバイス
糖尿病と妊娠の関係について教えてください。
糖尿病のある方が妊娠されると、糖尿病の慢性合併症の悪化や流産、早産、巨大児の出産など、母体と赤ちゃんにさまざまな影響が出ることが知られています。糖尿病のある方が妊娠・出産を望まれる場合は、まずは内科の先生のもとで、糖尿病の合併症や血糖値の状態を確認して、「妊娠しても大丈夫ですよ」という妊娠の許可をもらうことが大前提になります。
妊娠の許可が出れば不妊治療をスタートできますが、その方の糖尿病の状態によっては不妊治療中も血糖値のコントロールが欠かせません。常に内科の先生との連携が必要になります。
不妊治療は可能でしょうか?
松本先生 妊娠・出産には母体の健康が何よりも大事です。そのために内科医、生殖医、産科医が連携できる大学病院を紹介されたのでしょう。先ほどお話ししたように、糖尿病のある方が妊娠・出産を望まれる場合、母体と赤ちゃんに大きなリスクをともないます。内科の先生が「妊娠、出産、育児をしても大丈夫」と判断された後に不妊治療を進めていくべきです。
それともう一つ、ご主人が「子どもはいらない」とおっしゃっているのが気になります。不妊治療はご夫婦で一緒に取り組むことが前提です。ご相談者とご主人が「子どもが欲しい」という同じ気持ちで歩んでいかれることが望ましいと思います。ご夫婦でしっかりお話し合いをされることをおすすめします。
そのうえで不妊治療が可能になった場合ですが、AMH(抗ミュラー管ホルモン:卵巣の予備能)が低い方が、必ずしも体外受精からスタートするわけではありません。ご主人の精子の状態は正常とありますので、人工授精でお子さんを授かる可能性はあると思います。まずは人工授精を試してみて、その間に体外受精について考えてみたり、しばらく様子を見ていくのもいいでしょう。