Q AMH4・ 28 で卵巣が腫れやすい? 低刺激で頑張るしかない?
ドクターアドバイス
さちさんは卵巣が腫れやすいとのことです が、多囊胞性卵巣症候群なのでしょうか?
生田先生 確かにこの程度の刺激で8つの 卵胞が膨らんだのは、反応性は高いほうだ と思いますが、多囊胞性卵巣症候群や卵巣 過剰刺激症候群(OHSS)を心配するほ どの反応ではないと思います。それより も、クロミフェンの服用は通常5日間程度 ですが、それを9日間も飲んでいるのが気 になります。排卵刺激を抑えようとしての ことだと考えますが、逆にそのせいで子宮 内膜への悪影響を考えて、その周期に戻せ なかったのではないでしょうか。
また、4個しか採卵できず、2つは未 熟卵というのは、切り替えた HCG が あまり効いてない状態なのだとも思われ ます。卵巣が腫れるのを避けるために、 注射の代わりに GnRH アゴニストの 鼻スプレーをもしも使っていたとした ら、それは問題です。
なぜなら、鼻スプレーは自然な排卵の刺 激を引き起こすのですが、鼻からの吸収率 の問題などもあり、きれいに排卵しない、 採卵できない確率がどうしても高くなりま す。卵巣が本当に腫れてしまいそうな時に 使うことはありますが、8つ程度ならばあ まりこだわる意味はありません。それより もたとえば注射で、5千単位で難しければ 8千、1万と投与量を上げたり、注射後採 卵までの時間を長くするなどといった、採 卵の確率や卵子の成熟度を高くする工夫を したほうがいいと思います。
つまり、刺激の内容が不十分だった?
生田先生 そうですね。HCG を注射す ると、卵子の入っている殻が割れる準備が 始まるのと同時に、卵子の周りを取り囲ん でいる顆粒膜細胞がヒアルロン酸をつくっ て細胞間が開いてきて壁から卵子が剥がれ てきます。この現象がきちんと起こらない と、卵胞に針を刺しても卵子を回収できません。8個中4つしか採れないというと、 その可能性がありますね。
また、注射によって、卵子の染色体の減 数分裂が促され、受精のための準備ができ るのですが、それができていない未熟卵が 2つあったということは、卵子の準備も遅 れていて卵巣に対する刺激も不十分だった といえるでしょう。
もっと強い刺激のほうがいいのでしょうか?
生田先生 さちさんの反応性がいいので、 強い刺激をすすめないというのはわかりま すが、2~3個狙いというのはもったいな いかなと思います。年齢的に卵子の異常 の頻度はそれほど多くないと思いますの で、今回のように受精する率や受精しても きれいに育っていく率が低かったことを考 えると、もう少し採卵できる卵子の数が多 くなるようにしたほうがいいと思います。 HCG の切り替えを工夫することで6~ 7個は採れるようにしたいですね。
もし本当に多囊胞性卵巣症候群なら ば、マイルドな刺激のレトロゾールなど アロマターゼ阻害薬を使ってみるのもい いかもしれません。まだ 33 歳ですから、 成熟卵がきちんと採れれば妊娠の可能性 は高いと思いますよ。