Q 胚移植の際の痛みは、 器具や技術によるものですか?

田中宏明先生 聖マリアンナ医科大学卒業。慶應義塾大学医学部産婦人科学教室入 局。慶応義塾大学病院、東京歯科大学市川総合病院リプロダクションセ ンター、海老名総合病院などで約25年間にわたり不妊および周産期医 療に携わる。医学博士(大阪医科大学)、日本産婦人科学会認定専門医。

ドクターアドバイス

●子宮の傾きが強い、筋腫があると痛みを伴うことがあります。
●麻酔を使うなど痛みを逃す方法もあるので、遠慮なく担当医に相談を。
ひろさん(39歳)からの相談 Q.先日、初めて胚移植をしたのですが、カテーテルが全然 入りませんでした。4回ほど硬さの違うものを入れて、 さらに機器みたいなものを入れてやっと移植できたので すが、結構痛くて泣きそうでした。人工授精は10回ほ どやりましたが、1回だけなかなか入らないことがありま した。その時以外は大して痛みもなかったのですが…。 人工授精と胚移植は入れる位置が違うのでしょうか? 卵 管造影検査もほとんど痛くありませんでした。先生によっ て技術の差はあるのでしょうか? ちなみに胚移植は人工 授精とは違う先生に施術してもらいました。

胚移植の際の痛みの原因について、考え られることはありますか?

田中先生 まず、人工授精、胚移植どちらも、そもそも痛みを伴うものではありませ ん。人工授精の場合は子宮内腔に入ってすぐの場所、卵管の入り口ギリギリのあたり など、医療機関や医師の考え方によって精子を注入する場所に多少違いがあります。 一方胚移植は子宮内腔にしっかり入れるというルールがあるので、受精卵を注入する場所に差はありません。また、担当医の技術に関してもある程度の件数を重ねると、技術の差はないという文献もあり、最近ではエコーを見ながら注入する場所を決められるため、医師による技術の差もさほどな いと考えられます。

では、なぜひろさんが胚移植で痛みを感じたのかというと、一つには子宮の角度が原因だったのかもしれません。極端に子宮の傾きが強い場合、胚移植の際、器具がうまく入らなかった可能性があります。また、ひろさんには子宮筋腫がありませんか。子宮筋腫があるとチューブが当たり痛みを伴った可能性もあります。

人工授精と胚移植、使う器具によって痛 みの差はありますか?

田中先生 人工授精で使うチューブは各メーカーによって素材や硬さが違ってきます。一方、胚移植の場合、受精卵を入れる内筒と呼ばれるチューブがやわらかく、先端が繊細で曲がりやすいという特徴があります。そのため、外筒という器具でまずは道筋を作ってから、その中に内筒を入れて、子宮内腔に受精卵を注入します。この筒についても多少硬さの違いがあるので、ひろさんが胚移植の際に痛みを感じたことで、担当医が違う筒を 使ってみたのだと思います。

今後、胚移植の際の痛みの対処法があれ ば教えてください。

田中先生 先ほど胚移植そのものは痛みを伴うものではないと言いましたが、痛みの 感じ方には個人差がありますよね。痛みを感じやすい方でしたら、あらかじめ痛み止 めを服用する、座薬を入れておく、などの対処ができるので、担当医に相談しておく とよいでしょう。また、ひろさんはシミュレーションをされましたか。私の場合、胚移植の前にはシミュレーションをして、子宮の傾きやどのチューブが合っているかをあらかじめ確認してから移植に臨んでいます。この先も不安を感じるようでしたら、シミュレーションを申し出てみるのもよい と思います。

卵管造影検査をした時は痛みを伴わなかったそうですが、卵管造影検査の場合は子宮頸管に造影カテーテルを入れるもので、子宮内腔にまでは届かないので、痛みがなかったのでしょう。

胚移植の痛みは病気ではないので安心してください。次の胚移植で不安があるようでしたら、対処法はあるので、ぜひ担当医に相談されることをおすすめします。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。