卵管 の両側閉塞のため FT(卵管鏡下卵管形成術)を検討中。
有用性について教えて。卵管閉塞のためFT(卵管鏡下卵管形成術)を検討する場合、どのよう な点に気をつけるべきでしょうか。
40代の治療の有用性について、うめ だファティリティークリニックの山下能毅先生に教えていただきました。
ドクターアドバイス
これまでの治療データ
検査・ 治療歴
妊娠歴
サプリメント の使用
精子データ
卵管閉塞について教えてください。
山下先生 卵管因子は不妊原因のなかでもっとも多く、全体の 20 〜 30 %を占めるといわれています。なかでも卵管閉塞は卵管間質部、卵管狭部、卵管膨大部、卵管采など、いずれかの卵管が詰まることで精子や卵子が通過できなくなる病変です。また、卵管閉塞が起こる原因はクラミジアや淋菌、大腸菌などの細菌感染による卵管の炎症や子宮内膜症です。
まずは通水・通気検査、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査などで、子宮内腔の状態や卵管内部の癒着や閉塞を調べます。子宮卵管造影検査では卵管ひだの構造も診断の対象になります。卵管ひだには、ぜん動運動をしながら卵子を子宮に運ぶ役割があり、傷ついていたり、消失していると卵子を運べなくなる可能性があります。さらに卵管ひだの構造は再生されないため、病変の観察はとても重要になります。
担当の先生が「解像度が悪すぎて見えない」とおっしゃるのはその通りで、ファイバースコープに内蔵されているカメラの精度の問題でしょう。解像度が高いカメラであれば卵管内部の病変はもちろん、卵管ひだもきれいに確認できます。カメラの精度は施設によって異なりますので、施設に確認して納得したところで受けられるといいと思います。
片方の卵管が閉塞している場合は自然妊娠が期待できることもありますが、両側の卵管が完全に詰まっている場合はFTで閉塞部を再開通させるか、体外受精を検討することになります。
FTを検討されているそうです。どのような治療法でしょうか。
山下先生 FTは、卵管が狭くなったり、閉塞している部分にビデオカメラを内蔵したバルーンカテーテルを通して、卵管全域を詳しく観察できます。それと同時に卵管内部をバルーンで押し広げながら前進して卵管形成(精子や卵子を通りやすくする)を行う治療法です。FT術後の卵管の回復率は 97 %ですが、1〜3カ月後の再閉塞率は10 %あります。また、FT術後の妊娠率は30 %で、そのうち1年以内に妊娠した人は87 %です。
ちなみに子宮鏡カニュレーションは、卵管にカテーテルを通して卵管の通りを確認することができます。
コリラさんのご質問の中に「FT後の異所性妊娠率は 20 %」とありますが、一概にFT後の確率とは考えにくいと思います。収集されたいろいろな情報が混在しているのかもしれませんね。一般的に卵管が詰まっていて異所性妊娠の既往がある場合再発する可能性は 20 %とされています。ただ異所性妊娠のデータは各施設によって違いますので、担当の先生にお聞きになるといいと思います。もしも異所性妊娠の既往がなければ、問題になるのは卵管閉塞の再発です。FT術後の再閉塞率は 10 %といわれていますので、こちらに該当すると再閉塞による異所性妊娠の可能性があります。