Q 卵子には問題ないのに、 子宮内膜が薄くて着床しない

保坂 猛 先生 聖マリアンナ医科大学卒業。聖マリアンナ医科大学産婦人科医長、同 大学産婦人科非常勤講師。ファティリティクリニック東京勤務を経て、 2011年三軒茶屋ウィメンズクリニックを開院。
こりんさん(30歳)からの相談 Q.不妊治療2年目、採卵2回、凍結胚盤胞移植を5回しま したがすべて陰性で、近々6回目の移植を予定していま す。3年前に子宮内膜ポリープの切除手術を受けたせいな のか、子宮内膜が4㎜以上に厚くならず、なかなか着床し ません。前回はディビゲルⓇ、今回はエストラーナⓇテープ でホルモン補充しましたが、病院から「ホルモン受容体の 感受性が悪く、ホルモン治療の効果があまり期待できない」 と言われました。ホルモン補充法が効かない場合、子宮 内膜を厚くするにはどういった方法がありますか? ちなみ に、採卵は問題なく、卵子のグレードもよいとのことです。

相談者のこりんさんは、 3 年前に子宮内 膜ポリープ切除の手術を受けています。

子 宮内膜が着床に十分な厚みにならないことと、手術とは関連性がありますか。

保坂先生 こりんさんが手術を受けたのは3 年前ですから、子宮内膜ポリープ切除とは関係ないと思います。一昔前は、掻爬や流産の手術は念入りにやるほどよいとされていたのですが、現在は子宮内膜を傷つけないよう細心の注意を払うのがスタンダー ドです。子宮内膜が厚くならないのは、ポリープ切除手術のせいではないと思われるので、どうぞお気になさらずに治療を続けてください。

万一、術後が気になる場合は、子宮鏡で癒着の有無などを確認することはできます。

凍結胚盤胞移植を 5 回されましたが、い ずれも陰性。子宮内膜が 4mm程度しか厚くならず、ホルモン治療も功を奏しません。

保坂先生 着床、妊娠に備えるためには、子宮内膜の厚みは理想的には8 mm 以上、少なくとも7 mm は欲しいところで、5 mm 以下だとなかなか難しいのが現状です。

こりんさんはすでにホルモン療法をされ ていますが、ディビゲルⓇ、エストラーナⓇテープと、皮膚に塗る・貼るものをご使用 とのこと。ホルモン補充薬にはさまざまなタイプがあって、合成型と天然型もあります。現在お使いの合成型のほうが劣るとは一概には言えませんが、相性もあるので、次は皮膚から吸収させるものではなく、天然型の内服薬に切り替えるなどしてもよいかもしれません。

  病院から「ホルモン受容体の感受性が悪い」 と言われたとのことですが、そのようなこと は簡単にはわからないはず。いろいろなホルモン剤を試してみる価値はあると思います。 日進月歩で新しい製剤も登場するので、希望を捨てないでください。まだ 30 歳のこりんさ んには、治療を諦めてほしくないですね。

また、採卵は問題なく、卵子のグレードも良好とのことですが、排卵誘発の過程で子宮内膜を育てるといったアプローチも可能かと思われます。移植のタイミングは難しいのですが、ぜひ検討してみてください。

自分自身で、少しでも子宮内膜の厚みを 増す工夫はできますか。

保坂先生 血流を高める、体を温めるなど は、少なからず役に立つと思います。ありきたりですが、まずはストレスを溜めないこと。バランスの整った食事、適度な運動、十分な睡眠は健康の基本であり、不妊解消の基本でもあります。ビタミン A 、 C 、 Eなどの服用、鍼灸、漢方薬、遠赤外線の温熱治療などは、副作用もないので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
  また、アンケート用紙には月経についての 記載がありませんでしたが、これまでの生理不順の有無なども気になります。カウフマン療法などで正常な月経周期を取り戻すというのも、子宮内膜を育てるプロセスにつながるので、検査対象としてみてください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。