Q 顕微授精の受精率が低く、 胚盤胞まで到達しません
ドクターアドバイス
卵子の数は採れているようですが、胚盤胞までなかなか進まないようです。
臼井先生 卵胞も 25 個見えていたというこ とですね。うさうささんはAMH(抗ミュ ラー管ホルモン)の値が 4 ・ 22ng / ml との こと。 20 代という年齢の割には高めです。 もしかしたらPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の傾向があるのではないでしょうか。 PCOSだと排卵障害などを引き起こしますが、生理は順調ということなので確定的なもの、深刻な病態ではなく、多嚢胞性卵巣ぎみということなのかもしれませんね。
PCOSの場合、卵子がたくさん採れても質の良いものが少ない場合が多いようです。胚の分裂がうまくいかないのは、もし かしたらそのようなことが原因になっているのかもしれません。
排卵誘発法が合っていないということも 考えられるのでしょうか。
臼井先生 もしPCOSの傾向があるのなら、次はアンタゴニスト法ではなく、飲み薬のクロミッドⓇやフェマーラⓇを使う低刺激法でトライされてみてはどうでしょうか。採れる卵子の数は減ってしまいますが、少ないなかでうまく卵胞を成熟させていけば、もっと質の良い卵子が採れる可能性があり ます。AMH値が高くて卵巣の反応がいいので、注射をいっぱいして刺激するという形ではないほうがいいかもしれませんね。
ただ、今回が初めての採卵だということ。周期によって採れる卵子の状態も違うので、あと1回は同じ方法で試してみるという選択もあるかと思います。
精子の状態や影響についてはどう思わ れますか。
臼井先生 ご主人の検査結果を拝見すると、確かに悪く、これでは顕微授精にな ると思います。しかし、その1カ月前の精液検査ではそれほど問題がなく、急に数値が悪くなったようです。直前に引い た風邪の影響かどうかは何ともいえませんが、もともと精子の状態にバラつきが ある可能性も。
こういう方は時々いらっしゃって、受 精率も良くない傾向があります。造精機能に問題があるかもしれないので、一度 ではなく、何度か検査を受けてもバラつきがみられるようなら、一度男性不妊外来を受診して詳しい検査を受けてみることをおすすめします。
今後の治療について何かアドバイスはあ りますか。
臼井先生 前述したように排卵誘発法を低 刺激や自然周期に変えてみたり、受精の方法も精子の状態をみて体外受精と顕微授精、半々でトライしてみるなど、これまでと違うやり方で試してみてもいいでしょう。
また、うさうささんは 23 歳の時に人工授 精を2回されています。「金銭的に次の採卵は先になる」ということなので、その間に精子を調べるという意味でも、人工授精を何度かされてみてもいいと思いますね。