HMG注射と自然排卵

Q お腹の張りや卵胞径の変化。 自然排卵したのでしょうか?

堀川 隆 先生 琉球大学医学部卒業。国立国際医療センター、国立成育医療 センター不妊診療科勤務を経て、2009年12月より高崎ART クリニック院長に就任。国際医療センター勤務時より内視鏡手術・ 生殖補助医療に従事。成育医療センターでは難治性不妊治療・ 加齢と不妊についての研究に取り組む。最近、ベランダでのガー デニングにはまっているという堀川先生。トマトにイチゴ、ス イカに加え、レモンやメロンまで。育てるのが難しいとされる ソメイヨシノも、今年の春、2輪の花をつけたとか。

ドクターアドバイス

●お腹の張りやおりものの増加は兆候。排卵したと考えていいと思います。
●妊娠しやすいのは排卵日の1~2日前。その時期には複数回タイミングを。
にゃーさん(31歳)からの相談 Q.PCOSで、3カ月ほどカウフマン療法でお休みして、久し ぶりに排卵誘発を実施。生理3~5日目にクロミッドⓇ、6~ 11日目にフォリスチムⓇ、12・14日目にHMG注射をして、 16日目のエコーで卵胞1個を確認。17㎜だったため、 同じ日にもう一度HMGの注射をしました。ちなみに14~ 16日目までお腹の張りが強く、おりものも多かったので すが、17日目の朝くらいから治まりました。たまたまです が、この日の夜にタイミングをとっています。18日目に再 度エコー検査をしたところ、卵胞は15㎜程度と小さくな り、かつ歪んだ形に。21日目に再診となりました。この 場合、どのようなことが起きていると考えられますか? 自 然排卵したとすれば、妊娠の可能性はあるのでしょうか。

排卵誘発から 18 日目のエコー検査まで の過程を見て、何か気になる点はありますか?

排卵はしたのでしょうか。

堀川先生  14 ~ 16 日目のお腹の張りとお りものの量が増えたのは、排卵の兆候だと思います。 18 日目には卵胞が小さく なって歪んで見えたということは、排卵したと考えていいでしょう。  排卵時、卵胞は風船がパンクするように なくなることもあれば、シューッとしぼんでいくように小さく見えることもあります。にゃーさんの場合、そこに卵子が入っているかどうかは、はっきりいえませんが、おそらく排卵によりしぼんできているのだと思います。

卵胞径が 17 ㎜というのは少し小さめか もしれませんが、自然でも 15 ㎜で排卵す る人もいれば、 20 ㎜を超えて排卵する ケースもあります。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だからということではなく、周期によって育つスピードが異なる場合があるので、大きさに関してはあまり気にすることはないと思いますね。

3日後に再診する予定のようですが、基礎体温の計測や排卵検査薬は使用されていないのでしょうか。排卵後には体温が上がってくるので、そのような材料があればもう少し納得できたかと思います。

妊娠の可能性はありますか?

堀川先生 タイミングをとる場合、排卵日ぴったりではなく、排卵日より1~2日前が妊娠しやすいということがわかっています。体の変化でいえば、おりものが急に増えてくる時期です。にゃーさんは 17 日 目の夜にタイミングをとったということ。ちょっと遅いくらいで、うまくタイミングをとれたのではないでしょうか。

「タイミングをとるのは1回ではダメ」ということはありませんが、チャンスはその時期しかないので、当院ではできるだけ毎日とっていただくようにしています。難しいようなら1日おきでもいいでしょう。

では、問題はないということですね。

堀川先生 なかなか自然排卵がないので、飲み薬に加え、注射でも排卵誘発をされています。刺激を強めにすると卵胞が3個も4個も育ってしまい、その状態でタイミングをとると多胎のリスクが高まってしまうことも。そのような場合は、卵胞が増えすぎないように注射の回数や量をコントロールしていきますが、それでも3個以上育ってしまった場合、当院ではキャンセルをおすすめして、次の周期に仕切り直しという形をとっています。

にゃーさんは今回1個しか排卵を確認できなかったようですから、多胎のリスクも回避できた良い治療だったといえるのではないでしょうか。主治医の先生を信頼して、前向きに治療を続けていただきたいと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。