子宮内膜症が判明。

治療と妊娠どちらが先?

不任治療の足かせとなる子宮内膜症。

チョコ レート嚢腫が見つかったときの対処法は?

そ もそも妊娠できるの?

福井ウィメンズクリ ニックの福井先生にお答えいただきました。

 

チョコレート嚢腫でも妊娠できますか?

とくさん(主婦/?歳)からの相談 Q.子どもが欲しくて婦人科で排卵のタイミングを診てもらっ ていたのですが、先日受診した時に先生から「左の卵巣 に2㎝弱のチョコレート嚢腫が2つあるので早く妊娠した ほうがいい。妊娠も治療のひとつ」と言われました。先 月タイミングを診てもらった時にはできてなかったので、 ショックです。確かに先月の生理、いつになく痛かったで す。これから先、嚢腫がないほうの卵巣しか排卵しない のでしょうか。一度できてしまったら、消えることはない のでしょうか? また、内膜症に効くサプリメントがあると 聞きましたが、チョコレート嚢腫にも効き目はありますか? 今も少し左下腹部が痛むのですが、日常で気をつけるこ とがあれば教えてください。

チョコレート嚢腫が 妊娠を妨げることも

チョコレート嚢腫は卵巣の内部に発生する子宮内膜症のことです。
子宮内膜症は、近年の晩婚化・晩産により増加傾向にあります。
兆候としては、月経痛や不正出血、排便痛など。
鎮痛剤を飲まなければ月経痛が我慢できなくなった、などの変化があれば早めに婦人科医に相談してください。

その際に、薬を飲む頻度や量を伝えていただくと、ドクターも「痛みの目安」がわかるので判断しやすくなります。

チョコレート嚢腫は、放っておくと増大化してさまざまな悪影響を及ぼします。

確率としては 1 %未満ですががん化することもあり、大きくなってしまった場合は手術で切除する必要があります。

薬で治療する方法もないとはいえませんが、治療期間中は不妊治療ができないので、あまりおすすめしません。

また、妊娠・出産をすれば、妊娠中に体内で分泌されるホルモンが働いて子宮内膜症が退縮し、治るとされています。

一方で、さまざまな意見がありますが、チョコレート嚢腫があると成熟する卵胞が減ってしまいますし、着床率を下げるので妊娠を妨げるという論文も発表されています。
不任治療をされている方の場合は、妊娠と治療どちらが先かという問題に悩まれるのでは、とも思います。

まずは卵管が通過しているか 検査し結果に応じた治療を

それまではなかったのに突然2㎝ほどのチョコレート嚢腫が見つかったそうですが、それはエコー検査の結果でしょうか。
エコー検査の場合は、ほかのものがチョコレート嚢腫のように見えることがあります。
たとえば前回の周期の黄体が残存していると、初見ではチョコレート嚢腫のように見えてしまうものです。
まずは次の月経後に再度調べてみてください。そこで嚢腫のようなものがなくなっていれば、それはチョコレート嚢腫ではなかったということになります。
もし、本当にチョコレート嚢腫で大きくなっていた場合でも、大きさが2㎝ほどの場合はすぐに手術が必要というわけではありません。
一番の判断材料となるのは、卵管の通過性と年齢です。
まずは、卵管造影検査などで卵管がちゃんと通っているかを診てもらってください。
子宮内膜症は、卵管を詰まらせる原因の一 つです。
卵管が狭くなったり、詰まっていたり、癒着により卵管が自由に動けない場合は、妊娠が妨げられてしまいます。
それを卵管通過障害といいます。
卵管は、まず精子が通る道ですから、そこに障害があると受精の妨げになってしまいます。
ですから、まずは卵管がちゃんと通っているかどうかが不妊治療の大切な判断材料となります。

卵管が通っておらず 高齢なら体外受精も

卵管が通っていれば、チョコレート嚢腫のことは気にせずに、そのままタイミング療法や人工授精をしていただいて大丈夫だと思います。
私なら、それでおよそ半年くらい様子をみて、あまり結果が良くない場合は内視鏡でお腹の中を診て、手術を考えると思います。
なぜかというと、チョコレート嚢腫の場合は、そこだけに病変があることは考えにくく、たいていの場合は別の病変もある可能性が高いのです。
子宮内膜症の場合はその周辺も診て、病変があれば手術などできちんと治療をしたほうが妊娠率が上がるかもしれないからです。
ただし、高齢の場合はあまり時間がないので、卵管が通っていても体外受精に進むことを考えてもいいと思います。
ガイドラインによると 38 歳以上の方が該当します。
もしチョコレート嚢腫があって 38 歳以上の 方の場合は、早めに体外受精を考えたほうがいいと思います。

手術での環境改善も有効。 判断基準は嚢腫の大きさ

私としては、まずお腹の中の状態を診て、必要に応じて内視鏡手術をして子宮環境を整えてから不妊治療をしていただきたいという気持ちはあります。
手術のメリットとしては、チョコレート嚢腫の切除だけではなく、妊娠を妨げる他の病変を治療できることです。
一方で、デメリットもあり、チョコレート嚢腫を切除する際に正常な卵胞がわずかながらも減ってしまう可能性があります。
また、再発の可能性もあります。

とはいえ、あまり大きくなると破裂や感染かがん化などの危険性が出てきますから、目安として4㎝を超えた場合は手術をしたほうがいいと思います。

また、サプリメントで治るかどうかについては、やはり根底から子宮内膜症そのものを治すことは難しいですね。

ただ、子宮内膜症の方は月経痛がひどいので、フラボノイド系のサプリメントなどで痛みを和らげると少しは楽になるのではないでしょうか。

サプリメントは、治療というよりも緩和などの目的で使うといいでしょう。

普段から気をつけていただきたいのは、月経痛などの痛みの度合いを自分で説明できるようにしておくことです。

鎮痛剤を必要とする頻度が増えたとか、以前よりたくさん飲まなければ我慢できなくなったとか。
まめに婦人科医に痛みの状況を説明しておくことで、不妊治療中も医師がチョコレート嚢腫の状況を把握しやすく、次の治療方法を考えやすくなります。
普段の生活によって子宮内膜症が治る、ということはありませんが、自分の体を把握しておくことで適切な治療の判断材料が用意でき、結果的に妊娠できる体づくりに導けるのです。

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