不妊治療の検査ってどんなことをするの?

初めての人もこれを読めば安心!

徳岡先生の不妊治療AtoZ

Lesson1 不妊治療の検査って どんなことをするの?

 

徳岡 晋 先生 防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自 衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学 研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、 とくおかレディースクリニックを開設。昨年から走 ることを少しお休みしていた徳岡先生。「これから 暖かくなるので、気持ちを新たにまた走ろうと思っ ています。週末にトレーニングして、まずは10㎞マ ラソンに挑戦したいですね」。

月経1周期の中で ひと通りの基本検査を

不妊治療は、まず妊娠しない原因がどこにあるのかを探ることから始まります。初診でお話をお聞きしたあと、不妊の原因を見つけるために、月経周期に合わせて一通りの基本検査を受けていただきます。左ページに一般的な検査項目をまとめましたのでご参照ください。

検査は月経周期のどこからでも始めることができます。

月経中に「採血ホルモン検査」で、FSH(卵胞刺激ホル モン)、LH(黄体化ホルモン)を調べ、卵巣機能を確認します。

月経が終わってから排卵までの間には「子宮卵管造影検査」で卵管が通っているかを確認します。

昔は痛い検査の代表のようにいわれていましたが、当院では超音波で患者様の様子を確認しながらゆっくりと造影剤を入れていきますので、痛みはほとんどありません。

痛みがあるということは狭窄または閉塞しているということなので、無理に通すことはしないからです。

今はこのようにレントゲンではなく、超音波で様子を見ながら行うクリニックも増えています。

排卵期には「超音波卵胞測定」で卵胞の大きさを、「ホルモ ン検査」で卵胞ホルモンの分泌量を確認します。

排卵日頃に行う「ヒューナーテスト」は性交後にクリニッ クに来てもらい、頸管内に精子がいるかどうかを調べます。

「頸管粘液検査」は精子を子宮内に導く頸管粘液の分泌具合を調べます。

排卵後は「経腟超音波検査」で排卵されたのかを確認し、 子宮内膜が着床に適した厚さになっているかを確認します。

また、「ホルモン検査」で高温相を維持する黄体ホルモン、卵胞ホルモンを測定します。

治療計画に大きく影響する AMH検査は必ず受けて

ほかに、月経周期に関係なく受けられる検査として、「感染症検査」、「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」、「抗精子抗体検査」などがあります。

「感染症検査」はB型肝炎、C型肝炎、HIV、クラミジアなどの感染症の有無を確認する血液検査で、基本検査を受ける前、または受け始めたらなるべく早めに受けていただきたいものです。

これは院内感染を防止するのと、万が一感染症があった時は事前に治療して、卵管造影検査時に卵管内に細菌を広げてしまうのを防止するために行います。

基本検査の中でも、最も重要だと考えられているのが「AMH検査」です。

これは卵巣の中に残っている卵子の数を表す指標とされています。

年齢が高くなるとAMHは下がっていきますが、なかには年齢は若いのにAMHが低いという人がいらっしゃいます。

たとえば実年齢は 32 歳なのに、卵巣年 齢は 42 ~ 43 歳の数値になるという人がいるのです。

そういう ケースでは治療のスピードを早めたほうがいいという判断になります。

早い時期に閉経を迎え、手遅れになってしまうということもありうるからです。

治療の方針を決めるのにAMHは重要な指標になりますので、早めに検査を受けることをおすすめします。

基本検査の中でこれまでに他のクリニックで行ったものが あれば、初診の時に結果を持っていきましょう。

検査によっ てもう一度検査しなおす必要があるもの、ないものがあります。

たとえばホルモン値は時期によって変わりますので、以前に検査したことがあっても、再度調べることになります。

子宮卵管造影検査、抗精子抗体検査などは半年~ 1 年以内くらいに行ったものであれば、その結果が参考にできるので再検査は必要ないでしょう。

不妊原因は男性にあることも。 精液検査を早めに受けて

男性の基本検査は精液検査です。精液を採取し、精液量や精子濃度、精子運動率、正常形態精子率などを調べます。

その結果をWHOの基準に照らし合わせ、 2 項目以上基準値から外れているものがあれば再検査となります。

血液検査でLH、FSHなどのホルモン値を調べたり、睾丸の容積や精索静脈瘤、精管の狭窄がないかなどを確認していきます。

男性の検査は時期に関係なくいつでも受けられますし、 1 ~ 2 回程度クリニックに足を運ぶだけなので、なるべく早めに受けるようにしましょう。

クリニック主催の勉強会に 夫婦で参加しよう

もっと詳しく検査のことが知りたい、どんな治療を行っているのか知りたいと思ったら、各クリニックが主催して いる勉強会に参加するのもいいでしょう。

個別にはいろいろ聞きづらくても、多人数を相手に講義形式で教えてくれ る勉強会なら気軽に参加できるのではないでしょうか。

当院でも毎月 2 回、不妊治療全般の勉強会を開催しています。妊娠のしくみから、どういうところに妊娠を妨げる要因があるのか、そしてどんな治療法があるのかなどを、スライドやビデオを使いながら説明しています。

ご夫婦一緒に参加される方も多くいらっしゃいます。

二人で共通の理解をしていれば、その後の治療に対する意見も合わせやすくなり、スムーズに進めることができます。

ぜひ勉強会を活用してください。

不妊治療の基本検査のまとめ

基本検査は月経周期に合わせて約1カ月でできる。

卵巣年齢を予測するAMH検査は必ず受けよう。

検査は夫婦ともに。男性も精液検査を受けよう。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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