青葉レディースクリニック産婦人科医小松一先生の妊娠前に始める母親教室第8回

小松先生の母親教室では、妊娠前から知っておきたいことを教えていただきます。

青葉レディースクリニック 小 松 一 先 生 高知県出身。1995 年九州大学医学部卒業。九州大学病院周産母子センターや北九州市立医療センター、九州厚生年金病院  などで研鑽を重ね、2007 年に「青葉レディースクリニック」を開業。高齢出産を多く手がけており、安心できる分娩をモットーにしている。

身の周りにはさまざまな感染症がありますが、これらをすべて理解することは容易ではありません。前回、妊娠を希望する女性や妊娠と特に関連性が深い感染症、風疹・麻疹について紹介しました。今回は下記の疾患についてご紹介します。

クラミジア感染症

クラミジア感染症( 通称クラミジア) は性行為感染症の一つで、子宮頸管炎から卵管炎をきたすと、不妊症の原因となることが知られていますので、現在、不妊治療を受けている方はスクリーニング検査として、必ず実施されていることと思います。

妊娠中に感染すると子宮頸管炎から、破水や早産のリスクがあるため、妊婦健診の中で検査します。実施時期についてはかかりつけ医にお尋ねください。なお、クラミジア感染症と診断された場合には淋菌の重複感染もあるので、淋菌の検査も行います。治療に際しては、パートナーに泌尿器科を受診してもらって、同時期の治療が原則です。

梅毒

近年、増加傾向にある性行為感染症が梅毒です。無症状のことが多く、診断は血液検査( 梅毒血清反応)しかありません。無治療はもちろんのこと、治療を中断したまま妊娠した方や妊娠初期に初めて感染が判明した方は胎児へ感染し、死産や重い合併症の恐れがあります。遅くても、胎盤が完成する妊娠16週までに治療を開始する必要があります。

トキソプラズマ症

トキソプラズマは豚・鶏・牛・猫、鳥類の体内に寄生する原虫で、動物の体内や排泄物、土の中などに存在し、人に感染します。通常は感染しても無症状か、リンパ節が腫れる程度で治りますが、妊娠中に初めて感染すると胎児に感染して、流産や死産、また無事に生まれたとしても眼や脳の障害をきたすことがあります。

従来、猫が遊ぶ砂場や糞からの感染を心配していましたが、最近は熱を通していない、生ハムや肉など食品からの感染が報告されていますので妊娠中は生ハムや火の通ってない肉の摂取を控えましょう。

サイトメガロウイルス感染症( C M V)

先天性のサイトメガロウイルス感染症は胎児の発育不全や水頭症、小頭症、胎児水腫など、また生後は難聴、発達障害、てんかん、視力障害を引き起こすことが知られています。最近では妊娠中に初感染を起こした場合よりも、妊娠前に感染し、そのまま妊娠してしまう、慢性感染状態が良くないことがわかってきました。    しかしながら、現状では有効なワクチンや胎児に対する確立された治療法がないため、何よりも感染しないことが重要です。

母体が  C M V  に感染したかどうかは主に lg  G 、 I g  A 抗体検査をして、診断します。一般的に、lg  G 抗体が陰性の場合、子どもの唾液や尿から感染する恐れがあり、以下のような方法で、感染予防を実施することが推奨されています。

・以下の行為の後は、石けんと流水で洗いを頻回に行う

おむつ交換

子どもに食事を与える

子どもの鼻やよだれを拭く

子どものおもちゃを触る

・子どもと食べ物、飲物、食器を共用しない

・おしゃぶりを口にしない

・歯ブラシを共用しない

・口や頬にキスしない

・おもちゃ、テーブルなど、唾液・尿が触れそうな場所を清潔に保つ

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