E2が低くて不安

E2が低くて不安……。

卵巣機能が低下しているの?

田中 温 先生 順天堂大学医学部卒業。越谷市立病 院産科医長時代、診療後ならという 条件付きで不妊治療の研究を許され る。度重なる研究と実験は毎日深夜 にまで及び、 1985 年、ついに日本初 のギフト法による男児が誕生。1990 年、セントマザー産婦人科医院開院。 日本受精着床学会副理事長。円形精 子細胞の論文が完成し、米最高峰の 出版社への3回目の投稿が終了した 田中先生。「多くのカップルが不妊に 悩む現代において、1組でも多く、 自分の子どもを抱ける可能性がある 技術を提案し続けたい」と、決意を 語ってくださいました。

ドクターアドバイス

生殖に関与する機能やホルモンは、感情 と密接に関係します。
いずれ閉経になる のは避けられないとしても、卵巣機能を 若く保つにはまずは見かけから若返るこ とが大切。
年齢を重ねても美しい女性で あり続けたいと努力すること が何よりも効果的です。

E2

E2=エストラジオールは、女性の体に影 響を与える卵胞ホルモン「エストロゲン」 の一種。
脳下垂体から出る卵胞刺激ホルモ ン(FSH)が卵巣に働きかけることで、発 育を始めた1個の卵胞から分泌される。
主 に子宮、乳房の働きを活発にし、子宮内膜 を厚くして妊娠の準備を整えます。
卵胞が 成熟する過程で分泌を高めるため、E2の 数値で卵子の成熟度を判断できます。
さくらさん(31歳)からの相談  Q.採卵に向けて注射が始まりました。先月、生理3日目の血液 検査では、LHFSHは正常値でしたがE2 は17pg/ml でした。先生からは何もいわれませんでしたが、ネッ トを見るとD3でこの数値はかなり低いと思いまし た。ちなみにこの数値は1カ月前のD3の数値で、 今月(採卵月)の結果はまだ聞いていません。し かし、過去数回のE 2 の結果はすべて40pg/ml 以下で毎回低く、卵巣機能が低下しているとか卵 の質が悪い、着床しづらいのかと心配です。アミノ コラーゲンでE 2 が上がるという書き込みも見かけま すが、今からでも摂取していたほうがいいでしょうか?

女性の体のサイクルと ホルモンの関係は?

正常な月経周期に必要なホルモンは、大きく分けて4種類あります。
脳下垂体から分泌されるのは黄体形成ホルモン(LH)と、卵胞刺激ホルモン(FSH)。
FSHは卵巣に働きかけて卵胞ホルモンのエストロゲンを分泌させ、LHは黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌を促します。
本来はもっと複雑ですが、大まかにいえば、この4つで十分に説明できますし、これらがうまくかみ合わなければ排卵、妊娠をしません。
外来では必ずこの4つのホルモンを検査します。
卵巣の中には小さな卵子からある程度育った卵子まであり、周期ごとに新しい卵ができているのではなく、それぞれが少しずつ成長しながら成熟卵胞になります。
今、排卵した卵子は2~3カ月前から動き始めているものです。
ですから、その瞬間に何かをすればすぐに反応するのではなく、前段階からコントロールしていかなければ良い反応に結びつかない。
それが卵巣の難しさです。

卵子の成熟度は、 何で判断するの?

卵胞ホルモンのエストロゲンはE1、E2、E3の3つに分類され、特に生殖に深く関与するのは今回のテーマであるE2。
正式名はエストラジオールです。
原始卵胞が育ち、成熟卵胞になるまで2~3カ月かかりますが、初期の頃は脳から出るホルモンの影響を受けずに発育します。
そして、1㎜以上になるとLH、FSHの刺激を受ける準備ができるので、排卵誘発に進むことができます。
排卵誘発法には現在 10 通りほどあり、月経3日目のE2、LH、FSHを測定して、最適な誘発法を選びます。
同時に、将来、成熟卵胞になる能力を持った、左右の卵巣内の胞状卵胞の数と大きさを調べることも大切です。
卵子がある程度育ち、卵胞が脳下垂体から分泌されるFSHに反応できるまでになると、卵子の周りに顆粒膜細胞ができます。
顆粒膜細胞が盛んに増殖して原始卵胞から成熟卵胞に成長する過程でE2を分泌しますから、E2の値は卵子の成熟度を表しているといえます。
成熟卵胞のE2の正常値は、およそ200~300 pg/ml です。

E2の数値に不安…… 不妊への影響はあるの?

200~300 pg/ml というのは成熟卵胞の値であり、月経3日目では 40pg/ml 以下は正常値です。
卵胞が成熟するためには、まず低い値から始まり、徐々に上がっていく。逆に言えば、最初から高すぎたり低すぎたりでは良い卵子は採れません。
さくらさんが、ご自身のE2の値が低いと心配されたのは、インターネットで調べて数値だけを見たからでしょう。
成熟卵胞と初期の卵胞では数値が違っていて当然です。
膨大な情報の中から正しいものを見極め理解していくことが大切ですね。
月経3日目のE2の値で低すぎると判断するのは5 pg/ml 以下。
その場合はLH、 FSHも低くなっています。
主に前の周期にピルを飲んでいたことが原因です。
ピルはすべてのホルモンの値を下げる作用がありますから。
この場合は一度ピルをお休みして、次の周期に治療を再開すれば、正常値に戻ります。
もし、もともと生理不順の人なら、カウフマン療法が有効でしょう。
最初にエストロゲンを与えて、途中から黄体ホルモンを加えるという方法で、基礎体温が二相性になり、あたかも排卵しているかのようなホルモン状態をつくってあげることで卵巣機能を正常に戻します。
反対に 20pg/ml 以上は高いと判断します。
通常は 30pg/ml 程度ですが、当院では 10 年 以上前から患者さんの年齢、体格、ホルモン数値などをすべてデータ化して統計を出しています。
そのデシジョンツリーに基づくと 20pg/ml より高い場合、良い卵が採れ ないことが証明されています。
E2の数値が高いのは、前周期の卵胞が卵巣に残っている可能性があります。
この残存卵胞が、ホルモンを分泌し続けているためE2の値がいつまでも高いのです。
治療はピルが有効ですが、施術で卵巣から残存卵胞を抜き出す方法もあります。

自分に合った治療を 選ぶために大切なことは?

さくらさんは非常に良い状態ですし、月経3日目の血液検査もベストですから、あとは胞状卵胞を調べてもらいましょう。
サプリメントについては、必ずしもコラーゲンがホルモン値を上げるというわけではありませんから、健康のために、という程度のとらえ方でいいでしょう。
不妊治療の難しさは、いかに良い卵子をつくるのかということ。
それには複数のホルモンが歯車のようにかみ合って、円滑に回らなければなりません。
ひとつでも止まるとすべてが止まってしまう。
そういう怖さがありますが、逆にいえばホルモンをコントロールできてさえいれば、妊娠に結びつく確率は高くなります。
自分に合った排卵誘発法を提案してくれる施設、信頼できる主治医のもとで治療を受けることが、良い結果につながる可能性を高めてくれるといえるでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。