血行を良くしたい

下肢の刺激やマッサージで 排卵の悩みを改善しよう!

「血行が悪いとさまざまな病気を引き起こす」 と聞きますが、不妊もその一つ。

なぜよくな いのか、どんな影響があるのでしょうか。

血 行改善法も併せて、はらメディカルクリニッ クの原利夫先生にお話を伺いました。

原 利夫 先生 1983年、慶應義塾大学大学院(医学)修了にて医学博士学位を取得。 同大産婦人科助手時代、日本初の凍結受精卵ベビー誕生の一員として活 躍。その後、東京歯科大学市川病院講師、千葉衛生短大非常勤講師 を経て、1993年はらメディカルクリニックを開院。夏はお盆の時期も開院、 来年は2つの学会を主催するとあって、多忙な日々を送っている原先 生。そんななか、始めたばかりのトランペットも月1回はスクールに通っ ているとか。曲を披露していただくのが楽しみです。

血行が悪いと必要なホルモンが卵巣にきちんと届きません

全身の血液がきちんと循環しているかどうかは、妊娠にとって大きな影響を与えます。

血行が悪いと脳下垂体から分泌されるホルモン、主にFSHLHがうまく卵巣に運ばれていきません。

ホルモンは内分泌腺で作られて血液中に分泌された後、目的の器官に運ばれて作用するのですが、血行が悪いと到達しにくくなってしまう。

たとえばFSHが十分に卵巣に届かなければ、卵胞の発育を阻害してしまうことがあります。

また、排卵の時には「血管新生」といって新しい血管がどんどんできてくるんですね。卵巣内の毛細血管が増えると、卵胞に十分なFSHが届きやすくなって、よい卵ができてくる。

黄体発育が良好であればプロゲステロンがしっかり届いて、受精卵にとって最適なふかふかのベッドになります。

この血管新生を起こすためには血流が良好であり、さらにスピードがあることが大事。

そして血管新生が起きれば、ますます血行が良くなるということです。

下半身を動かしたり温めて血管のポンプ作用を促します

では、血行を良くするにはどうしたらいいかということですが、手軽にできて効果的なのは下半身のマッサージや運動、温めです。

心臓から出た血液が動脈を通って体中に行き渡った後に、静脈を通って心臓に戻ることを「静脈環流」というのですが、ふくらはぎの血行が悪いとこのポンプ作用がうまく機能しなくなって、全身の血流が滞ってしまいます。

足の細い人、反対に太りぎみの人、普段、立ったままや座ったままの姿勢を長く続けている人は静脈環流に障害を起こしやすいので、ふくらはぎをもんだり、ウォーキングをして下肢を動かしたり、刺激するようにしましょう。

また、 38 度前 後のお湯で半身浴をするのも効果的。

40 度以上の熱いお湯だ とかえって血流のスピードを落とすので、ぬるめにするのがポイントです。

排卵に問題がある人はこれらを毎日の習慣に。

治療ではなく、自分で行うので前向きな気持ちになるし、排卵障害の改善も期待できます。

●血行を良くするポイント

1.下肢の筋肉を動かしたり、マッサージする

全身の血行促進には、血液循環の ポンプ作用を担っている下肢をほ ぐすことがポイント。

ふくらはぎ をもんだり、ウォーキングで下半 身の筋肉を動かす。

ぬるめのお湯 での半身浴もおすすめ。

2.適量のお酒を飲んで血管の障害を修復

お酒を飲むとドキドキしますが、 それは血流が早くなっている証拠。

早くなると血管の壁がきれいに なって血行もよい状態に。

妊娠後 は厳禁ですが、治療中でも排卵前 までなら適度な量のアルコール摂 取も効果的。

3.ビタミンEを摂取して血流改善・活性酸素を除去

当院でも処方することがあるビ タミンEには、血流改善の効果 が期待できる。

また、細胞を老 化させる活性酸素の発生を抑え る抗酸化作用もあるので、ビタ ミンE摂取も一つの方法。

●血行が悪いと妊娠に良くない?

血行が悪くなると⇒

FSHなどのホルモンが うまく卵巣に運ばれて行かない⇒

卵巣内や子宮内の血管新生が少なく、 ホルモンが届きにくかったり、 子宮内膜が厚くならない⇒

卵胞がうまく育たなかったり、 受精卵の着床に影響を及ぼすことも

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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