黄体機能不全で 卵管閉塞と狭窄。

体外受精で妊娠できる?

操 良 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学附属病院で8年間、不妊専門外 来を担当し、1992年には岐阜県下初の体外受精に成功。女性ホ ルモンに関する研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研 究奨励賞を、平成11年に日本内分泌学会で研究奨励賞を受賞。 現在、操レディスホスピタル院長。医学博士。日本生殖医学会認 定生殖医療専門医。旅行好きな先生ですが、1泊以上の休みを取 れないのが悩みとか。「春の連休には飛行機で1 泊で九州まで行きま したが、夏は台風に巻き込まれて帰れないと大変なので、陸で移動で きる場所に行こうと思っています」とのこと。
カナさん(37歳)からの相談 Q.1年半前に稽留流産後、不妊治療に通っています。当初、さまざまな検査をした 診断では子宮卵管造影で左卵管閉塞と右卵管狭窄があり、ピックアップ障害との こと。卵胞カウント右3左2程度。テストステロン値が0.25ng/dlだったため DHEAも処方、1カ月後には0.24ng/dlで処方継続中です。まずはタイミン グ療法といわれましたが、特にタイミング日も指導されず、自己流タイミングを 図るしかありませんでした。年齢的なこともあり、今月自らAIHを希望しました。 今後、体外受精に進もうかと考えていますが、基礎体温では高温期が短く、黄体機能不全については栄養摂取のみという治療方針に疑問を感じています。基礎体 温は相変わらず、高温期は短くM字型になります。基礎体温はこだわらなくてい いのでしょうか? 黄体機能不全のまま体外受精をする方向でいいでしょうか?

基礎体温について

先生は基礎体温についてはどうお考えですか?
操先生 基礎体温は一つの目安に過ぎません。
当院の患者さんもほとんど基礎体温表は持ってみえませんし、こちらからも持ってくるようにとはいいません。
それくらい重要視していませんね。
基礎体温は、出血が続いたり、周期がおかしいという時には参考になるかと思いますが、それ以外の治療上ではあまり気にしなくていいと思います。

黄体機能不全?

黄体機能不全について栄養摂取のみという治療方針についてはどう思われますか?
操先生 まず黄体機能不全ということ自体、基礎体温と血中プロラクチン値で診断されたのでしょうか?
昔は子宮内膜日付診といって、子宮内膜の組織的所見から排卵して何日目の子宮の内膜かというのがわかる検査があり、実際の排卵とのずれを見て、ずれていれば黄体機能不全という診断方法もあったのですが、近年その臨床的意義は否定されています。
要するに、黄体機能不全という診断自体が難しいというか曖昧なところがあります。
ましてや基礎体温だけでは正確な診断はできません。
黄体機能不全だとしても、治療して効果があるかということも今は疑問視されています。
栄養摂取のみというのは、そのクリニックの方針があるのでなんともいえませんが、ただ、自己流タイミングだけではやはり難しいと思います。
自己流で無理だからこそクリニックに通うと思うので、タイミングを指導する場合にはやはりきちんと卵胞チェックをして、排卵日もできるだけ正確に特定するというのが通常のやり方かとは思います。

低刺激な体外受精から

今後、体外受精に進むことを考えているようです。
操先生 体外受精後の黄体ホルモン補充は明らかに基礎的データでも優位差が出ているので、体外受精に進むのであれば、きちんと黄体ホルモンは補充したほうが成績は良いと思います。
新鮮胚移植であれば採卵後に黄体補充を行い、凍結胚であれば自然周期ではなくホルモン補充周期にしたうえで胚移植を行うことで、ホルモン環境的には解決可能だと思います。
これは黄体機能不全があるなしにかかわらずですね。
先生であれば、この先どのような治療を進めますか?
操先生 やはり卵管閉塞と狭窄が大きな因子だと思いますので、体外受精に進むことはおすすめしますね。
稽留流産については、 1回の流産ならかなりの確率で起こり得ることですし、むしろ着床までは行くのだという印象を持っています。
ただ、月経周期が 25 ~26 日と短いので卵巣機能はあまり良くないか なと思います。
今後は、低刺激で採卵しながらの体外受精がベストではないでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。