不育症と着床障害がありますが、妊娠できますか?

不育症と着床障害で治療中。 早く妊娠したいのに このままでいいのか不安です

福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に 入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人 科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カッ プルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。先日行われた 医師会の落成式で、先生のバンド演奏が大好評! 次は、7月の単独ライ ブに向けた練習や準備で大忙しだそう。「演奏をゆっくり楽しんでもらえる演 出を考えています。楽しみです(笑)」。
マンゴー姫さん(36歳)からの相談 Q.不育症と着床障害で治療中です。3回目の胚移植(2個の受精卵)をしましたが、残 念ながら妊娠にはいたらず、凍結胚を使い果たしました。1〜2回目の移植との違い はわかりませんが、ずっとバイアスピリンを服用していました。また採卵から頑張る つもりでしたが、先生から治療を休むようにいわれました。結婚して13年、本格的 に治療を始めて5年。先生には、「まだ若いから大丈夫。お休みしないと治療をしな い」ともいわれました。AIHも16回繰り返し、流産4回。IVFも「必要ない」となか なかしてもらえず、やっとIVFに進めたのに妊娠にいたりません。転院したほうがいいの でしょうか。「今回は生理がきたので採卵の準備はできないし、診察もしない」といわれ たので、別の病院でAIHをしようかと思っています。毎日不安で早く赤ちゃんが欲しく て、もどかしい気持ちで過ごしています。よいアドバイスをお願いします。

抗 PE 抗体が流産に影響?

不育症と着床障害の治療中だそうですが。
福井先生 流産を4回繰り返しているので、不育症(習慣性流産)なのは確かです。
不育症の原因のひとつ、抗 PE 抗体(抗フォスファチジルエタノールアミン抗体)が陽性だそうですから、これが流産に影響している可能性は高いと思います。
ただ、抗 PE 抗体が着床障害に影響しているかどうかは、学術的に解明されていません。
バイアスピリンを処方された理由も、抗 PE 抗体が陽性であることが大きいのでしょう。
この薬については、妊娠を継続させる治療薬としては有効性が認められています。
ただし、これが着床障害の改善につながるかどうかは不明です。
いずれにしても、着床しにくい何らかの原因があるとは思います。

子宮疾患がある可能性

どんな原因が考えられますか。
福井先生 気になったのが、生理時の貧血です。
Hb (ヘモグロビン)の数値が6〜8というのはかなり重症の貧血です。
出血量も多く、間違いなく月経過多でしょう。
何らかの子宮疾患がある可能性が高いです。
診察してみないとわかりませんが、「子宮腺筋症子宮筋腫「子宮内膜増殖症」「子宮内膜ポリープ」など、いろいろ考えられます。
この子宮環境を改善しないと、着床しにくくなり、流産の原因につながると思います。
一度、子宮ファイバースコープやMRIで検査されてはいかがでしょう。
手術が必要なケースも考えられます。

体外受精の必要性は疑問

体外受精(IVF)は続けるべきでしょうか。
福井先生 主治医の先生は、しばらく治療をお休みしましょうとおっしゃっただけですよね。
それを、この方は体外受精を止められたと捉えられたのかも。
もしかすると、その間に流産の検査をしながら人工授精(AIH)を続けてみましょうということかもしれません。
このまま体外受精を進めても、流産の原因をつきとめない限り、同じことの繰り返しになります。
そもそもなぜ体外受精に進まれたのかがわ かりません。
この方は人工授精で4回妊娠されていますので、体外受精が必要かどうかは疑問です。

先ずは不育症の原因究明

人工授精がよいのでしょうか。転院も考えているそうです。
福井先生 年齢の経過により着床しにくくなっているとは思いますが、どちらかといえば不育症だと思います。
それも前述の抗 PE 抗体や子宮疾患など、2つ以上の原因によって、不育症が出ているのでしょう。
まずは、不育症の原因をしっかり調べて、それに対する治療と対策をたてることが大切です。
不育症の検査には、抗 PE 抗体のほかにも、血液系・染色体系・免疫系・甲状腺系などいろいろあります。
これらの検査と並行しながら人工授精をされるのがよいと思います。
決して体外受精がダメというわけではありません。
年齢的にも赤ちゃんを早く授かりたいし、不安なお気持ちはよくわかります。
ただ、不育症を改善しなければ、妊娠を継続できないわけですから、体外受精は、この方が抱える根本的な解決にはならない気がします。
転院を考えるのもひとつですが、まずは不育症の原因検索を行い、適切な治療を行うことが先決です。

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