凍結融解胚の移植日について

生理周期は28日なのに…… 移植日が26日目なのは 問題ないのでしょうか?

絹谷 正之 先生 愛媛大学医学部卒業。広島大学医学部産科婦人科学教室入局。その 後、東京の山王病院リプロダクションセンターにて高度生殖補助医療研 修、顕微授精を修得。1999年にはカナダ、アメリカにて高度生殖補助医 療研修を行う。2000年、絹谷産婦人科副院長、2002年より院長に。 広島県産婦人科医会常務理事。ISO9001やJISART(日本生殖補助 医療標準化機関)の認定を2010年〜2011年に取得。今春には、ビル の7階にあった説明会ができるフロアが5階へ移転。これまでよりも部屋 が広くなり、患者さんの利便性も考えてリニューアル。よりいっそう、充実し た説明会ができるよう準備されています。
オレンヂさん(40歳)からの相談 Q.治療歴1年半で、人工授精3回、そして顕微授精にチャレンジ中です。顕微授精に踏み 切ったのは精子運動率が低いため、先生にすすめられたからです。1~2回目はナサ ニール®、エストラーナ®、腟坐薬を使い、一度は着床しましたが化学流産。いずれも生理 後22日で移植しました。3度目はエストラーナ®のみ使用。生理後15日目の診断で 内膜が7㎜だったため、エストラーナ®を8枚にして様子見。19日目に再度診断で8.8 ㎜に。この日から2日後にエストラーナ®を4枚減らして腟坐薬を朝晩使用。結果、生理 後から26日目に移植となったのですが、遅すぎませんか? 前回2回とも22日目でし た。私の生理周期は28日でほぼ狂いはなく、通常なら2日後には生理が来てしまいま す。問題があるようでしたら、今回は見送ろうかとも思っています。

黄体補充と移植

治療内容について、どう思われますか?
絹谷先生 結論から言うと、この治療経過で問題はないと思います。
要するに、その周期においてナサニール ® で排卵を抑制しておいて、卵胞ホルモン剤であるエストラーナ ® の枚数を少しずつ増やしていくことで、子宮内膜を徐々に厚くして胚が着床するのにふさわしい状態にしていくのです。
オレンヂさんは、移植日が「生理後 22 日目だった」あるいは「 26日目になった」と、4日間ずれてしまったことをとても気にされていますね
しかし、胚盤胞を移植する場合は、着床にふさわしい子宮内膜の状態(厚み)になった日から黄体ホルモン投与を開始し、それから5日後に移植します。
その「5日後」はとても重要なので、きっちりと合わせますが、黄体ホルモン投与を開始するまでの日数の多少の長短はあまり関係ないのです。
たとえば、自然排卵での排卵がいつ起こる のかと同じことです。
妊娠する方でも 12 日目だったり 15 日目や 16 日目だったりとさまざまです。
しかし、排卵してから着床するまでの日数は6~7日で、凍結融解胚移植でも自然排卵でも一緒なのです。
オレンヂさんの場合は、 15 日目の診察で内膜が薄かったのでエストラーナ ® を追加し、4日間延ばされています。
そのため最初からの計算でいくと、過去2回が 22 日目だったのに今回は 26 日目になっていると言われていますね。
この 22 日目や 26日目というのは、あまり気にする必要はありません。
当クリニックでは、胚盤胞の凍結融解胚の 移植スケジュールについて、卵胞ホルモン剤であるエストラーナ ® を開始から 14 日目まで徐々に増やし、 15 日目からは黄体ホルモンの腟坐薬の使用を開始。
その後、5日後に移植するという事例を、図表を用いて説明しています。
多くは黄体ホルモン開始まで 14 日間で大丈夫ですが、子宮内膜の状態を調べたうえで、状態によっては調整しています。
オレンヂさんの主治医も、子宮内膜の厚みが7㎜しかなかったので、卵胞ホルモン剤のエストラーナ ® を増やすことで様子を見て、黄体ホルモンを開始する日を延期されたのだと思います。
また、内膜がなかなか厚くならなかった理由の一つに、年齢も影響していると考えられます。

エストラーナと移植日

26 日目の移植は問題ないのでしょうか?
絹谷先生 生理周期がこれまでほぼ 28 日なので、日数についてとても気にされていますね。
下垂体ホルモンの分泌を抑えるナサニール ®を使用している場合は、卵巣は働かなくなっているので、生理周期は月経開始からではなく、エストラーナ ® を使用し始めた日から数えたほうがいいと思います。
これまで、月経が始まったらすぐにエストラーナ ® を貼るという指示だったのではないでしょうか。
エストラーナ ® を貼り始める日を決めると、移植予定日がおのずと決まります。
ですから、多くの施設では移植日が休診日にならないよう調整してエストラーナ ® 開始日を決めます。
月経からすぐではなく、多少ずらして始めたりします。
移植スケジュールについて、先生ともう一度相談されるといいかもしれませんね。
>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。