排卵前の 超音波検査で 卵胞が見えませんでした

北村 誠司 先生 慶應義塾大学医学部卒業。1989年からIVFおよび内視鏡手術に従事。 子宮鏡下手術による胚移植の改善や、腹腔鏡下手術による子宮筋腫、 内膜症の解消・改善を積極的に図ると同時に、妊娠困難症例に対しても 新しい治療を取り入れて対応。本院(荻窪病院)泌尿器科の男性不妊専 門医の協力により、TESE-ICSIや逆行性射精など、男性不妊の治療体制 も整えている。AB型・いて座。昨年の12月、1年ぶりに患者さんの集い 「虹サロン」を復活。北村先生はサンタのかぶり物で皆さんをお出迎え。普 段、硬派な先生が患者さんに“ゆるい”一面を見せる貴重な(!?)機会。その 後、外来で顔を合わせるのが照れくさいそうです。
かな子さん(33歳)からの相談 Q.人工授精にトライしています。今回、月経が始まってから13日目で排卵予定である右の 卵胞チェックに行ったら、卵胞が見えませんでした(10日目には8㎜ほどの卵胞が2つ 見えました)。そこで、血液検査をして、翌日結果だけ電話で聞くと「まだ排卵していない けれど、排卵しそうだ」とのことで、再診に行くことになっています。たまたまエコーで見 えなかっただけなのでしょうか? また、ここ3カ月の卵胞は小さめで、15㎜程度で尿検査の排卵マークが出ます。卵胞が なかなか育たなくて心配していたのですが、今回の卵胞チェックの時に、来月排卵予定 の卵胞、7~8㎜程度のものが2つ確認できました。月経開始10日目頃の大きさだっ たので、逆に驚いています。今の時点で8㎜だと、次の排卵時までこの卵胞が待ってく れているのか心配です。

卵胞が見えないケース?

排卵予定日頃に超音波でチェックをして、「卵胞が見えない」ということはあるのでしょうか。
北村先生 これは少し疑問ですね。
通常、腸内のガスや便、尿の溜まり具合、もしくは子宮後屈などが原因で、卵巣が画像に映らないということは時々見られます。
しかし、卵巣が見えているにもかかわらず、卵胞が確認できないということはほとんどありません。
血液検査でホルモンの値をみたところ「まだ排卵していない」というご診断のようですから、すでに排卵してしまったということも考えにくい。
「卵胞が見えない」というのはどのような状態だったのか、先生から詳しい説明を受けられてみてはどうでしょうか。
かな子さんの生理周期は 24 ~ 31 日とのこと。
このくらいの周期の方だと、高温相が短く、9日目とか 10 日目など、通常より早めに排卵してしまう可能性もあります。

PCOSとLH

卵胞の成長も遅いようですが。
北村先生 卵胞の大きさがだいたい 18 ~ 20 ㎜程度になると、早くて当日、遅くても翌日には排卵するだろうと考えられています。
しかし、かな子さんは 15 ㎜程度の大きさで、LH検査の陽性が出始めてしまうということですね。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方だとLHの値が高くなるので、排卵時期ではないのに排卵検査薬で陽性が出てしまうことがあります。
かな子さんはPCOSの検査はきちんとされているのでしょうか。
いずれにせよ、データを拝見したかぎりで は、やはり卵胞の発育が遅く、何かしらの排卵障害がある可能性も考えられます。
このような方は排卵のタイミングを掴みにくいことがあるので、各周期、排卵の前に1~2回、卵胞の大きさやLHを積極的にチェックしてみたほうがいいと思いますね。

排卵した時点で閉鎖卵胞

逆に、次回排卵予定の卵胞は大きくなりすぎるのではと心配されているようです。
北村先生 前の周期に、次の周期に排卵する卵胞を特定するのは難しいことなんですね。
本当にその2つの卵胞が次回排卵するとは、はっきりいえないと思います。
先生も「排卵予定の候補かも」というニュアンスでおっしゃられたのでは。
一般的に、発育してくる卵胞の大きさの基準は8~ 10 ㎜くらいと考えられています。
もしこれが今回の発育ラインに乗っていた場合、他のどれかの卵胞が排卵した時点で閉鎖卵胞になり消滅してしまうので、次の周期を待つということはないと思います。
たとえ残っていたとしても、最終的には消滅してしまうでしょう。
残念ながら閉鎖卵胞になってしまう確率は 高いといえますが、気にされることはないと思います。
この2つが待てなくても、他の小さな卵胞がちゃんと順番を待っていると思います。
現時点で次回排卵する卵胞を正確に予測することは難しいので、先を考えて気を揉むのではなく、今の周期に集中して治療に臨んでいただきたいですね。
※PCOS(多嚢胞性卵巣症候群):月経異常、慢性的にアンドロゲン(男性ホルモン)の過剰や血液中の黄体化ホルモンが高値(卵胞刺激ホルモン上昇をともなわない)を示し、卵巣内にたくさんの小嚢胞がある。
>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。