卵管水腫治療後、4回胚移植しましたが結果が出ません

小田原 靖 先生 東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987年、オーストラリア・ロイ ヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科 大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996年恵比寿に開院。AB型・ みずがめ座。クリニックは、移転のために着々と準備が進行中。先生はジムで のトレーニングと節制した食生活ですっきりスリムに。新しい年を迎え、意欲的 に活動されていらっしゃいます。
バンブーさん(31歳)からの相談 Q.数年前に両側卵管水腫と診断されました。その後、凍結融解胚移植に2回挑戦するも結果 が出なかったので、腹腔鏡手術で両側卵管を切除。手術後から、今まで4回凍結融解胚移 植を行いましたが、結果はすべて陰性に終わっています。胚の状態は決してグレードが低 すぎるものではなく、6回の移植のうち3回は2個同時胚移植をしています。「手術して水 腫がなくなればきっと妊娠できる!」と信じて頑張ってきたのに4回とも結果が出ず、不安 になっています。残っている凍結胚も3個。このまま移植をくり返してもいいものか、原因 はどこにあるのか? 医師からは染色体異常の検査をすすめられています。

卵管切除について

バンブーさんは両側の卵管を切除されたということですが。
小田原先生 卵管水腫があっても妊娠されるケースはありますが、バンブーさんの場合、良好胚を移植したにもかかわらず結果が出なかったということですから、手術で切除されたのは適切な処置だったと思います。
なかには卵管を取るということに 抵抗を感じる方もいて、切除ではなく根元を結紮する方法を希望される方もいらっしゃいます。
しかし、炎症性の反応を持つものが骨盤内に存在するということは、やはり着床障害を引き起こす原因の一つになるので、切除したという判断は正しかったと思います。

受精卵の質の問題?

お腹の中の環境がよくなったにもかかわらず妊娠できないのは、どんな原因が考えられるのでしょうか。
小田原先生 妊娠に必要な要素から不妊の原因を大きく分けると、受精卵の質、子宮内膜の状態、着床障害があるのかどうか、という3つになると思います。
バンブーさんの場合、子宮内膜の 状態についてはこれまで何度か移植をされてきていますから、特に大きな障害はないと思われます。
問題なのは、受精卵の質と着床障害。
これらを改善する方法については今のところ、絶対的なものはありません。
移植した胚のグレードは悪いものではなかったということですが、胚盤胞だったのでしょうか。
グレードのいい胚盤胞の場合、 30 代ならだいたい 45 %くらいの確率で着床するので、やはり受精卵の質に何か問題があるのかもしれません。

染色体の検査も考える

今後、どのような検査や治療をしていったらいいですか。
小田原先生 受精卵の質について、海外では受精卵の細胞を採取し、受精卵そのものの染色体を診断できる検査があるのですが、日本ではその検査は実施されておらず、今のところ形態的な評価しかできません。
ご夫婦の染色体の検査は担当の先生からすすめられているようですが、染色体の一部が入れ替わる相互転座の場合、異常卵が増えることがあります。
一般的には流産に関わる検査と考えられていますが、一つでも障害を消去していく意味で、一度受けてみてもいいと思います。
ほかに検査としては、あまり一般 的ではありませんが、当院では子宮内環境検査といって、子宮の中の免疫のバランスを調べる検査を実施しています。
もし子宮の中に慢性炎症などが認められれば、抗生物質などで治療をしていく場合もあります。
移植については、これまで分割胚 だったのであれば、次は胚盤胞での移植が望ましいと思いますが、凍結胚のD3をD5まで培養するのは「卵がエネルギーを使ってしまうので、あまりいいことではない」という意見もあります。
ですから、できればもう一度採卵をして、新たな胚盤胞を得て移植をされたほうがいいのではないかと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。