ゴナールエフ®の使用で子宮内膜症が悪化することを心配しています

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の 体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、 1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。 2004 年より不妊専門の治療センターに。オフでは、読売巨 人軍の大ファンとして2012年は十分楽しめたという先生。球 場ではビール売りのお姉さんともすっかり顔見知りになってお 代わりも進み、そのせいか最近はお腹も少しふっくら!?
ももさん(35歳) Q.先日、4回目の人工授精を受け、今回生理が来たらゴナールエフⓇの使 用をすすめられています。私には中等度の子宮内膜症腺筋症があり、 さらに重複子宮という子宮が2つある子宮奇形も。片方は腺筋症がひ どいこともあり、右での妊娠を希望しています。以前、HMG注射をした 際、 OHSSになって腺筋症が悪化したので、それ以来、排卵誘発剤は使っ ていません。ここ3カ月は右排卵が続いていましたが、左排卵になった 際も周期を逃さないためにゴナールエフⓇを使い、左右両方から排卵さ せるということです。ゴナールエフⓇの医薬品情報を読むと、慎重投与 欄に子宮内膜症患者とありましたが、使用しても大丈夫でしょうか?

ゴナールエフ

まず、ゴナールエフ®とはどのような薬なのでしょうか。
臼井先生 FSH(卵胞刺激ホルモン)製剤に属する注射薬です。
この薬には卵巣に働きかけて、LH(黄体形成ホルモン)と協力して卵子をつくる働きがあるんですね。
PCOS(多嚢胞性卵巣機能障害)や下垂体機能不全の方に処方することが多く、これらの疾患をお持ちの方は保険適用になります。
ももさんはAMHの値が2・ 08 とのこと。
PCOSだとすれば4とか5とか、もっと高い数値になりますから、PCOSではないようですね。
また、OHSSになられた以降は排卵誘発剤を使用せず、それでも排卵されていたということですから、深刻な排卵障害も見受けられないようです。
それなのになぜ、先生がゴナールエフⓇの使用を提案されたのか、ちょっとわかりませんね。

状況により、使う薬は変わる

臼井先生ならゴナールエフ®を使うことは考えませんか?
臼井先生 卵子をなるべく多く採りたい体外受精での排卵誘発なら使用を考えると思います。
人工授精の段階だったら、PCOSの方には単一排卵を目指すために使うことがあるかもしれません。
しかし、ももさんはPCOSと思われる症状がなく、排卵誘発剤を使わなくても普通に排卵されています。
それならば今まで通り、薬は使わなくてもいいのではないでしょうか。
もし頑張ってもう少し排卵を促進したいということであれば、HMG製剤でも十分ではないかと思います。
ゴナールエフⓇはPCOSでない方には保険適用にならないので、コストがかなりかかってしまうんですね。
治療費を抑えるのならゴナールエフⓇではなく、ピュアなFSHを使ってもいいかと思います。
以前、HMGを使ってOHSSを起こされたということですが。
臼井先生 量をかなり多く使ってしまったのではないでしょうか。
うまくコントロールしていけば、次に使用しても心配はないと思います。

ゴナールエフと子宮内膜症

もしゴナールエフ®を使用していく場合は、子宮内膜症に悪影響がありますか。
臼井先生 HMG製剤もそうですが、ゴナールエフⓇも使用するとエストロゲンの分泌が促進されます。
確かにそれは子宮内膜症がある方にとっていい状況とはいえません。
ですから、医薬品情報にも慎重投与と書かれています。
でも、最初から多い量を投与するなど強い使い方をしなければそれほど悪影響はありません。
おそらく先生もそれをわかったうえで、少ない量をこまめに使っていこうと考えていらっしゃるのでしょう。
病院での注射だと 75 単位ですが、ゴナールエフは自己注射で、 37 ・5単位の量から打つことができます。
この方法なら危険ということはほとんどありませんから、その点では心配されることはないと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。