排卵不定期、無排卵……人工授精も体外受精も難しいのでしょうか?

宇津宮 隆史 先生  熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ 産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開 院以来、妊娠数は6200 件を超える。O 型・おひつじ座。生殖医療(特に 卵子・精子提供)で生まれた子どもたちを、長期にわたりフォローアップする ことの重要性を強く唱える。そのためのシステムを確立し、さらに次世代に引 き継がれていくことを目指し、日々奮闘中。
ななさん(34歳)Q.これから人工授精4回目をします。FSH 値が高く、ここ半年で急に排卵が 不定期になり、無排卵の時もあります。現在、黄体機能不全でクロミッドⓇ +注射で頑張っています。前回リセットした時に、医師から「そろそろ体外受精も考えてね」と言われました。さらに、「体外受精をしても、今の状態で 採卵できるかわかりませんけどね~(笑)」と言われ、「やっても無駄というこ と?」と混乱しました。採卵できるかわからない人が人工授精を続けていて いいのでしょうか。なんだかずっとモヤモヤしています。どんな心構えでいれ ばいいのか、わからなくなりました。

早発閉経は突然に

ななさんの今の状態を、どのように考えられますか?
宇津宮先生 FSH値が高い、排卵が不定期になっている、無排卵の時もある。
このような場合、早発閉経の可能性を疑います。
早発閉経は 40歳以下で特別な原因もなく閉経してしまうというものですが、健康な人、太っている人、痩せている人に関係なく、突然やってくるケースも多いものです。
もしかしたら、ななさんはこの初期段階かもしれません。

閉経したら治療できない

医師から、体外受精をしても採卵できないかもしれない、と言われたそうです。これも早発閉経が原因ですか?
宇津宮先生 結論から言えば、体外受精で採卵できないということはありえません。
もし本当に採卵できなければ、やはり早発閉経だから、ということになります。
医師の言葉の裏には、そういう事情があるのかもしれません。
私の経験では、半年前まで何の問題もなかったのに、半年後には完全に無排卵、つまり早発閉経になっていた、というケースもあります。
最も若い方では24 歳というケースもありました。
早発閉経か、そうではないか、ギリギリのラインにいる方はかなり多いことがわかっています。
36 歳頃で卵子が少量しか採れない方には排卵誘発剤を通常より多めに使いますが、それでもせいぜい4〜5個程度です。
こういう方は、誘発剤をやめてしまうと早発閉経になる可能性が高い〝予備軍〞といっていいでしょう。
閉経してしまうと、もう方法がありません。
ですから、我々にとっても閉経は怖いのです。
「採卵できるかわかりませんけどね」なんて、笑って言えることでは決してありません。

状況に合わせた治療を

ななさんの場合、先生ならどんな治療を行いますか?
宇津宮先生 早発閉経の可能性が高ければ体外受精がベストです。
可能性が低い、もしくは影響がない場合は、最初に子宮内膜症はないか、卵管采の機能はどうか、癒着があるかを調べる腹腔鏡検査をします。
そこで不妊の要因があれば治療して、その後に5回目の人工授精かタイミング療法。
人工授精は5〜6回が目安、というデータはすでに確立されていますが、ななさんはすでに4回目。
次の治療段階に移行するにはちょうどいい時期といえるでしょう。
我々は常に患者さんにデータを示し、複数の選択肢をご提供します。
そのなかでどうステップアップするかは、患者さんがしっかり勉強して理解し、ご夫婦で決めなければいけません。
納得のいく治療を受けるためにも、よりよい結果を生み出すためにも、そのことを忘れないでいただきたいですね。

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