低刺激で採卵するものの、変性卵、空胞、異常受精……。次は刺激を増やすべき?

大野 元 先生  岐阜大学医学部卒業。岐阜大学医学部大学院修了。ブリティッシュ・コ ロンビア大学(カナダ)研究員、岐阜大学助手、IVF大阪クリニックを 経て、1999年 8月開業。専門は周産期と不妊で、体外受精のエキスパ ート。O型・おうし座。毎年、院内レクリエーションとして、クリニック のスタッフの皆さんとマラソン大会に参加するという大野先生。今年の 秋には名古屋ドームの6 時間マラソンでも走ったとか。
かづきさん(35歳)からの投稿 Q.タイミング療法では6周期すべて妊娠せず、自然周期に切り替えて顕微授精に トライしています。採卵を数回していますが、毎回1個のみ採卵するものの、 変性卵、空胞、異常受精などで、なかなか移植できません。AMHが2 以下 のために低刺激だったようですが、「次回は少し刺激を増やしてみませんか?」 と医師に言われました。ただ、もしかしたら卵巣がまったく機能しなくなるか もしれないとのこと。究極の選択のような気がして、なかなか踏み切れません が、試してみる価値はありますか? それともこのまま自然周期を続けたほう がいい?

月経周期が順調なので

かづきさんは、自然周期で4回採卵しているようですが、次の排卵誘発法をどうするか、とても迷っているようです。
大野先生 確かに刺激を増やすか、低刺激を続けるかはクリニックによって方針が分かれるところですが、AMH2以下となると、あまり刺激してはいけないと思います。
かづきさんの月経周期は 28 日型とのことですが、ここが重要なポイントになります。
つまり、卵巣予備能は低下しているものの、月経周期は順調。
だいたい決まった時期に排卵があるということです。
28 日ということは、一般的には 13 〜 14 日目に排卵するはずですから、それに合わせて採卵ができます。
かづきさんは自然周期といっても、クロミフェン、HMG製剤を1日おきに使用しているようですが、わざわざ排卵誘発剤を使わなくても採卵できるのではないかな、と思います。

完全自然周期という選択

大野先生でしたら、次はどのような方法を提案されますか?
大野先生 次回試みるなら、クロミフェンや注射をまったく使用しない完全自然周期法をおすすめします。
これは、超音波検査と血液検査などで自然に選別された卵子1個の成熟を見極め、卵が成熟したところで、GnRHアゴニスト点鼻薬を使用して排卵を促し、点鼻 35 時間前後で採卵する方法です。
ただ、この方法は、予測より早く排卵してしまうことがあって、採卵のタイミングが難しいので、どこのクリニックでも対応しているわけではありません。
特に休診日のあるクリニックでは難しい方法です。
また、これまで顕微授精を行っていますが、精液の所見は問題ないようですから、いい卵子さえ得られれば、体外受精でも可能かもしれません。

卵巣予備能は卵質を表さない

つまり、現在の自然周期法よりもさらに刺激を減らす、ということですね。
大野先生 そうですね。
卵巣予備能が低下している場合、排卵誘発を増やせば、採卵数が少しは増加する可能性はありますが、いい卵子が増えるとは限りません。
逆に大量の注射などは卵子の質にダメージを与えます。
かづきさんの主治医が警告したように、刺激を増やしたにもかかわらず妊娠しなかった場合、閉経が早まる可能性もあります。
AMHが低いということで、胞状卵胞数は少ないと思いますが、必ずしも卵子の質が低下していることを意味しているわけではありません。
完全自然周期体外受精は、毎月採卵できますので、諦めずにチャレンジしてください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。