自然周期での体外受精。刺激法での治療も試したいのですが

神谷 博文 先生 札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学 講座に入局後、斗南病院にて産婦人科科長を10 年間務め る。1998 年、神谷レディースクリニックを開業。2012年 1月に地下鉄さっぽろ駅直結の新しいビルに移転予定。「待 ち時間の短縮のために電子カルテを導入、メールやウェブ 予約も可能になります。待合室も広くて過ごしやすくなりま すよ」と先生。さらに4月からは最新の知識と技術を身に つけた医師 2 名が増え、5人体制になるそう。
はなさん(40歳)からの投稿 Q.これまでタイミング療法10 回、人工授精5回を行い、現在は自然 周期での体外受精をしています。完全自然周期での1回目は胚盤胞 にならず、フェマーラ ® を使用した2回目は未成熟卵でした。Day3 の ホ ル モ ン 値 は FSH:8 ~ 9、LH:8 ~12、E2:40 ~70、 AMH:11.9~20です。このような状態の場合、刺激法での体外受 精の選択は可能でしょうか。また、一度でも刺激法を使うと卵巣機 能が低下するという可能性は考えられますか?

自然周期のデメリット

まず、はなさんが試された完全自然周期での採卵について、どう思われますか?
神谷先生 ホルモン剤を使わない完全自然周期は理想ともいえますが、続けることは現実的には難しいですね。
なぜなら、 24 時間体制で卵胞の検査やホルモンの測定、採卵ができる施設が必要になるからです。
また、年齢が高い場合、自然周期での採卵・体外受精はキャンセル率が高くなります。
ですから、自然周期といってもホルモン剤をまったく使わないのではなく、排卵が近くなったらGnRHアゴニストなどを使用し、排卵のタイミングを合わせる方法もよいと思います。

フェマーラでの刺激

2回目の体外受精では、フェマーラⓇを使った弱い刺激法を試されたようです。
神谷先生 フェマーラⓇは、子宮内膜に対して優しく、着床もしやすいので良い選択だと思います。
未成熟卵だったのは、おそらく採卵のタイミングがうまくコントロールされていなかったのでしょう。
年齢が高くなってくると、卵胞が小さくてもLHサージが出たり、逆に大きくなっていてもLHサージが出なかったりして、タイミングがとりにくい場合があるのです。

高年齢の場合は刺激周期

はなさんは 40 歳ですが、この年齢で自然周期での治療を続けることは有効でしょうか?
神谷先生  37 歳未満であれば、低刺激での体外受精で受精卵が1〜4個の場合、約 73 %胚盤胞まで成長させて子宮に戻すことができ、妊娠率も50 %近いデータがあります。
つまり、採卵できた卵子が1〜4個であっても、体外受精を2回行えば1回は妊娠するということです。
しかし、年齢が高くなると排卵する数も卵子の質も低下するので、子宮に戻せる受精卵の数も妊娠率も低くなります。
42 歳以上なら採卵数が1〜4個の場合、妊娠率は4%、採卵数が8〜 10 個の場合は 11 %となっています。
特に完全自然周期はキャンセル率も高いので、 38 歳以上の人には不向きなのではないでしょうか。
これは私の考えですが、年齢が高い人の場合には排卵誘発剤を使い、卵子をたくさん採ったほうがいいと思います。
しかし、排卵誘発剤に反応しづらくなり、結果的に自然周期に近い形でしか卵子が採れないケースも多く見られます。

排卵誘発による卵巣機能低下?

そうすると、卵巣機能の低下の心配についてはいかがですか?
神谷先生 卵子は排卵されるのを順番に待っていて、排卵誘発剤はそれを刺激することによって排卵させるものです。
刺激法を使うと卵巣機能が低下するという説もありますが、私はそうは考えていません。
はなさんは、AMHの値からみて、刺激法での採卵も有効だと思いますよ。
※フェマーラⓇ:採卵を目的に、卵巣を刺激する薬の1つ。低卵巣刺激法で使用する。保険適用外使用。
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