毎回、卵子がたくさんできたり次の月経まで残ったりします。 薬が多いのでしょうか?

大野 元 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学医学部大学院修了。ブリティッシュ・コロン ビア大学(カナダ)研究員、岐阜大学助手、IVF大阪クリニックを経て、 1999年8月開業。専門は周産期と不妊で、体外受精のエキスパート。O型・ おうし座。大学のラグビー部のOBとしても活躍する大野先生。「今年はラグ ビーのワールドカップ開催が楽しみ。8 年後に日本で開催される試合には、 時間を作ってぜひ観戦に行きたいと思っています」。
アキさん(32歳)からの投稿 Q.不妊治療歴2年。最初は産婦人科でタイミングをとり、クロミッドⓇを服用してい ましたが、結果が出なかったので不妊専門病院に転院しました。検査では原因が わからず、高温期が少し短いかな、というくらい。それなのに、生理5日目からセロフェンⓇを朝・昼・夕と5日間飲み、排卵前に4回自己注射(75単位)。人工授精の後にH G5000を打ち、感染予防の抗生物質を3日間飲み、高温期に入っ たらヒスロンⓇを14日分……。1カ月間、薬から離れる日がないくらいです。精子 は良好ですが、毎回卵子がたくさんできていたり、次まで残っていたりと問題があ ります。こんなに薬を飲んでいるからなのではないでしょうか。これは普通ですか?

医師と情報共有できている?

アキさんは、たくさんの薬の処方に疑問を感じているようです。
大野先生 まず、クロミフェン(セロフェンⓇ)を1日3錠飲んでいるようですが、本来は1日1錠から開始する薬です。
1錠では効かなかったから現在の処方になっているのでしょうか。
また、自己注射は遺伝子組み換え型FSHですが、クロミフェンと併用する理由は担当の先生から聞いているのでしょうか?
クロミフェンのデメリットとして、頸管粘液減少と子宮内膜が薄くなることがありますので、注射と併用することはありますが、保険適用外の治療なので患者さんの負担も大きくなります。
毎月、卵子はたくさんできているようですし、もう少し薬の量を減らすか、注射をやめて経口薬だけにしてもいいのでは、という印象はありますね。
それから、HCG注射は人工授精の後ではなく、前ではないでしょうか? それとも前後に打っているということでしょうか。
一般的には、人工授精の1〜2日前に投与し、人工授精時にちょうど排卵するように調節します。
HCG注射が本当に必要ならば投与するのは人工授精の前ですし、注射を打ちすぎることで次の月経まで卵子が残る、つまり遺残卵胞が起こりやすくもなります。
HCG注射の代わりに、GnRHアゴニストの点鼻薬を人工授精の1日半前に使用するという方法も考えられると思います。
その方法なら、夜遅い時間に通院せず、自宅でできるというメリットもありますね。
ヒスロンⓇについては黄体ホルモン剤なので、必要があるかどうかは別にして、悪影響はありません。

遺残卵胞があると・・・

遺残卵胞についてはどうですか?
大野先生 卵子がたくさんできるのは卵巣機能がいい証拠ですが、次の月経まで遺残卵胞がある場合は、ピルを服用するなどしてリセットしたほうがよいでしょう。
卵巣に残った中途半端な卵子が大きくなってしまうと、新たな卵胞の質も低下して、結局、いい卵子ができません。
遺残卵胞のある周期に妊娠は期待できないのが通常です。

体外受精の可能性

今後の治療は、どうすればよいでしょうか?
大野先生 精子については問題がないようですが、人工授精の前にヒューナーテストはしているのでしょうか?
ヒューナーテストの結果がよければ、精子が自然に子宮内に進入しているということですから、人工授精の必要性も疑問になってきます。
2年間の原因不明不妊ということなので、とりあえず試してみようという治療になっているのかもしれません。
アキさんはまだ年齢も若いですし、もう少し薬を整理し、体外受精へのステップアップも考慮しつつ、遺残卵胞がないか確認してから治療を再開してみてはいかがでしょうか。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。