不妊治療 はじめて講座①俵史子先生

はじめての不妊治療は わからないことがいっぱい。 そんな人のために、今回から 不妊専門クリニックの院長・俵先生が 基礎知識をわかりやすく教えてくれる 講座が始まります!

これから 基礎知識をやさしく 皆さんにお話しします。 よろしくお願いします

俵 史子 先生 浜松医科大学医学部卒業。 総合病院勤務医時代より不妊 治療に携わり、2004 年愛知 県の竹内病院トヨタ不妊セン ター所長に就任。2007年、 出身地の静岡に俵史子IVFク リニックを開業。 最先端の治 療に興味を持つ市内の病院や 大学の医師が研修に来ること も。プライベートでは、最近、 飼っている2 匹のトイプード ルのかわいい写真を撮るのに 凝っているそう。

病院デビューの タイミング、 教えてください

ぺぺさん(会社員・30 歳) Q.昨年6月に8週目で稽留流産を経験しました。 術後1カ月でタイミングをはかってきましたが、毎月撃沈。 一度妊娠できたのだから……まだホルモンバランスが 整わないだけ……焦りすぎてる……。 でも! やっぱり一日も早く子どもが欲しいと、 病院デビューを決意しました。 初診のタイミングなど教えてください。

30代半ばを過ぎたら 不妊期間半年が目安です

不妊症の定義は国によって異なり、1年間の不妊期間があれば不妊症と定義づけている国が多いようです。
「どのくらいの期間、妊娠しなかったら、病院に行けばいいの?」と悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、「1年間避妊せずに性生活を送った夫婦なら、8〜9割は妊娠に至る」ということを考えると、私は、1年という期間がある程度の目安になるのではないかと考えています。
とはいえ、その目安はご夫婦の年齢によっても多少異なってきます。
20 代で健康な方の場合は2年くらい様子をみてもいいかもしれませんが、卵巣の機能が落ちてくる 30 代半ばを過ぎた方の場合は、不妊期間が半年程度でも、病院での受診をしてみることをおすすめします。
今回ご質問いただいたぺぺさんは、一度の妊娠経験がありますが、妊娠経験があったり、2人目不妊の方でも、1人目不妊の時と同様に、ある程度、不妊期間が続くなら、やはり病院で検査や診察をきちんと受けられたほうがいいと思います。
ただ、このような、時間的な目安をお話しすると、「では、1年間は様子をみておいていいのね」と思われる方もいるかもしれません。
もし〝早く子どもが欲しい〞という気持ちが強いなら、期間をおかずに、一度受診してみてもいいと思います。
その理由は、たとえば、排卵障害の中には、時間が経つとどんどん悪化してしまうものもあるからです。
また、妊娠を妨げる子宮筋腫子宮内膜症が隠れていると、進行とともに妊娠しづらくなる場合があります。
すぐに本格的な不妊治療を、と考えなくても、病院で診てもらうことで、自分の体の状態やこれまでの生活習慣の見直しなど、妊娠に向けての的確なアドバイスを聞けるよい機会になりますよ。

初診までに最低2カ月間は 基礎体温をつけておこう

病院を受診することが決まったら、準備しておきたいのが基礎体温表です。
★基礎体温は、排卵の状態やホルモンバランスなどを知るための大切な情報源です。
ここから、不妊原因を見出せる場合もあるので、必ず毎日測定して、基礎体温表に記入しましょう。
記録する期間は長ければ長いほど参考になります。
平均値をみるために、最低2カ月以上はつけていただきたいですね。
本格的に不妊治療をすることになっても、最初は「基礎体温をつけてタイミング指導」というケースが多いので、毎日基礎体温を測る習慣を早めにつけておくといいでしょう。
ほかに、初診前に済ませておくこととして、予防接種があります。
たとえば風疹の予防接種は、不妊治療を開始してからだと、2カ月間ほど避妊をしてから受けなければならないので、風疹にかかったことがない方やワクチンを接種したことがない方は受診前に済ませておくことをおすすめいたします。
それから、これはご夫婦の問題ですが、受診するにあたって、そのことをご主人が理解しているかどうかも重要なことです。
不妊治療は、夫婦がともに同じ気持ちで走っていかないと難しいもの。
ですから、受診の前に、二人できちんと話し合っておくことも大切な準備の1つです。

★基礎体温って?

体の動きが一番安静な状態の時の体温のこと。
朝、目覚めた時に、床の中で基礎体温計で測り ます。
基礎体温表に記録する際、月経、月経痛、 不正出血、性交、おりものの性状・量、体調な どもあわせて記入しておくと役立ちます。

本当に治療が必要? 生活習慣の見直しも重要です

それから、病院を受診する前に一度振り返ってみていただきたいのが、〝生活習慣〞の見直しです。
奥様の現在の体重は標準の範囲でしょうか。
太りすぎ、もしくは痩せすぎではありませんか?
肥満は、排卵障害などを引き起こす可能性があり、標準体重より20 %重い場合、不妊症のリスクが2倍になるといわれています。
また、痩せすぎも排卵障害が起きやすくなってしまうというデータがあります。
妊娠しやすい体をつくるために大切なことは、①適度な運動、②バランスのとれた食生活、③ストレスをためない、余裕の持てる生活、この3つです。
これらは、毎日の生活のなかで、ご自分で実行できることですね。
生活習慣を改善してみたら、病院に行かなくても妊娠することができる方もいらっしゃると思います。
当院では、生活習慣については厳しく指導していて、血圧が高い場合は正常値になってから、喫煙している場合は禁煙してからでないと不妊治療を始めません。
体重もきちんと管理指導しています。
妊娠の基本は、ご自身が健康な体であるということです。
そのために、まずできることをして、そこから私たちと一緒に治療に臨んでいきましょう。

クリニックに通う前に しておくこと

❶ 初診前に最低 2カ月間の基礎体温をつけておこう
❷ 運動や食生活など、生活習慣の見直しをしよう
用意するもの
● 基礎体温計、基礎体温表
※稽留流産:子宮内で胎児(妊娠22週未満)が亡くなっているものの、母体には何の症状も現れず、胎児が子宮内に留まっている状態。 子宮内容除去術を行う。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。